最終更新:2019/04/20

無限等比級数の収束,発散の条件と証明など

分野: 数列  レベル: 基本公式

無限等比級数とは,無限に続く等比数列の和のことです。
例えば,
$1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{8}+\cdots$
は無限に続く等比数列の和なので,無限等比級数です。

この記事では,無限等比級数の計算方法収束・発散の条件などについて詳しく解説します。

無限等比級数とは

無限等比級数とは「無限に続く」「等比数列の」「和」のことです。

等比数列の初項を $a$,公比を $r$ とおくと,無限等比級数は,
$a+ar+ar^2+\cdots$
と表せます。

これをシグマを使って表すと、
$a+ar+ar^2+\cdots=\displaystyle\sum_{k=0}^{\infty}ar^k$
となります。

無限等比級数の公式

では,この無限等比級数:
$a+ar+ar^2+\cdots$
はどうやって計算すれば良いでしょうか?

ただし $a=0$ の場合は全ての項が $0$ となりつまらない(明らかに $0$ に収束する)のでこの記事では $a\neq 0$ の場合を考えます。

実は,無限等比級数:
$a+ar+ar^2+\cdots$
$-1 <r <1$ のとき収束し,その値は $\dfrac{a}{1-r}$ になることが知られています。

例えば,
$1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{8}+\cdots$
という無限等比級数は,$a=1$,$r=\dfrac{1}{2}$ なので,和の公式を使うと
$\dfrac{a}{1-r}=\dfrac{1}{1-\frac{1}{2}}=2$
に収束することが分かります。

収束することの確認

無限等比級数の公式を使って,
$1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{8}+\cdots=2$
を導きました。

無限等比級数の図

一方,上の無限等比級数が $2$ に収束することは,図を見れば納得できるでしょう。

この図は非常に有名です。無限個の正の数を足しても無限大に発散せず有限の値に収束することがあることがひと目で納得できます。

発散する無限等比級数

一方,無限等比級数:
$a+ar+ar^2+\cdots$
$r \leq -1, 1\leq r$ のときに発散することが知られています。

例えば,
$1+2+4+8+\dots$
という無限等比級数は,公比が $r=2$ なので発散します。

無限等比級数の公式の証明

無限等比級数:
$a+ar+ar^2+\cdots$

$-1 <r <1$ のとき,$\dfrac{a}{1-r}$ に収束
$r \leq -1, 1\leq r$ のときに発散
することを述べました。

この公式を証明してみます。

無限級数の値とは有限和の極限のことです。等比数列の和の公式を知っていれば,極限を取るだけで簡単に証明できます。ただし,$r=1$ の場合は等比数列の和の形が異なるので場合分けをする必要があります。

証明

・ $r=1$ のとき,求める無限級数の値は $a+a+a+\cdots$ となり発散。

・ $r\neq 1$ のとき,無限等比級数の第 $n$ 項目までの和を $S_n$ とおく:
$S_n=a+ar+ar^2+\cdots +ar^{n-1}$

これは,等比数列の和の公式より簡単に計算できる→等比数列の和の公式の証明といろいろな例
$S_n=\dfrac{a-ar^n}{1-r}$

求める無限級数の値は $\displaystyle\lim_{n\to\infty}S_n$ である。
これは,$-1 <r <1$ のとき $\dfrac{a}{1-r}$ に収束,
$r \leq -1, 1 <r$ のときに発散する。

注:ここで言う発散とは「収束しない」の意味です。より詳しく言うと,

  • $a > 0,r \geq 1$ のとき正の無限大に発散
  • $a <0,r \geq 1$ のとき負の無限大に発散
  • $r\leq -1$ のとき振動

→数列の発散,収束,振動の意味と具体例

諸注意

・極限を取る操作のおかげで $ar^n$ の項が消えます。その結果,等比数列の和の公式よりも無限等比級数の公式の方が綺麗になります!

・「無限級数」という言葉は「無限項の和」を表します。「無限級数の和」という言葉にはやや違和感を感じます(頭痛が痛いみたいな感じ)。

・ $\dfrac{a}{1-r}$ に収束する場合について,
1.無限等比級数の値が初項 $a$ に比例する
2.公比 $r$ が $1$ に近いほど(絶対値が)大きくなり $r\to 1$ で発散する
というのは直感的にも納得できます。

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