球面の方程式に関する5つの公式と具体例

球面の方程式を表すいろいろな公式と例題を整理しました。

空間座標における球面の方程式

まずは,xyzxyz 座標空間における球面の方程式です。

公式1

中心が (a,b,c)(a,b,c) で半径が rr の球面の方程式は,

(xa)2+(yb)2+(zc)2=r2(x-a)^2+(y-b)^2+(z-c)^2=r^2

球面の方程式

例題1

中心が (1,2,3)(1,2,3) で半径が 44 の球面の方程式を求めよ。

例題1は,公式1を使えばすぐに解けます。公式1より,求める球面の方程式は
(x1)2+(y2)2+(z3)2=42(x-1)^2+(y-2)^2+(z-3)^2=4^2

公式1の説明

P(x,y,z)P(x,y,z) と球の中心 (a,b,c)(a,b,c) との距離は,三平方の定理より (xa)2+(yb)2+(zc)2\sqrt{(x-a)^2+(y-b)^2+(z-c)^2} です。よって,PP が球面上にある条件は,(xa)2+(yb)2+(zc)2=r\sqrt{(x-a)^2+(y-b)^2+(z-c)^2}=r となります。両辺を二乗すれば公式1になります。

球面の方程式の標準形

次は,球面の方程式の「標準形」と呼ばれるものを紹介します。まずは例題です。

例題2

x22x+y24y+z2=4x^2-2x+y^2-4y+z^2=4 が表す図形はどんなものか?

例題2の解答

左辺を平方完成すると,例題2の式は

(x1)21+(y2)24+z2=4(x-1)^2-1+(y-2)^2-4+z^2=4

つまり

(x1)2+(y2)2+z2=32(x-1)^2+(y-2)^2+z^2=3^2

と変形できる。これは公式1より,中心が (1,2,0)(1,2,0) で半径が 33 の球面を表す。

例題2のように,
x2+y2+z2+Ax+By+Cz+D=0x^2+y^2+z^2+Ax+By+Cz+D=0
という式は球面を表すことが多いです。この形の方程式を球の方程式の標準形と言うことがあります。

実際,上式を変形(平方完成)すると,

(x+A2)2+(y+B2)2+(z+C2)2=A2+B2+C24D4\left(x+\dfrac{A}{2}\right)^2+\left(y+\dfrac{B}{2}\right)^2+\left(z+\dfrac{C}{2}\right)^2\\ =\dfrac{A^2+B^2+C^2-4D}{4}

となることから以下の公式2が分かります(公式2は覚える必要はありません,例題2が解けることが重要です)。

公式2

x2+y2+z2+Ax+By+Cz+D=0x^2+y^2+z^2+Ax+By+Cz+D=0 という方程式は A2+B2+C24D4=R\dfrac{A^2+B^2+C^2-4D}{4}=R とおくと,

  • R>0R > 0 のとき,中心(A2,B2,C2)(-\dfrac{A}{2},-\dfrac{B}{2},-\dfrac{C}{2}),半径 R\sqrt{R} の球を表す。
  • R=0R=0 のとき,一点 (A2,B2,C2)(-\dfrac{A}{2},-\dfrac{B}{2},-\dfrac{C}{2}) を表す(球がつぶれたものともみなせる)。
  • R<0R <0 のとき,方程式を満たす点は存在しない。

なお,球の方程式の標準形にはパラメータが4つ(A,B,C,DA,B,C,D)あるので, (一般の位置にある)四点が与えられたらそれらを通る球が一つに定まることが分かります。

球面のベクトル方程式

P(pundefined)P(\overrightarrow{p}) が球面上にある条件を,ベクトルを用いて表現することもできます。

公式3

中心が A(aundefined)A(\overrightarrow{a}) で半径が rr の球面を表すベクトル方程式は, pundefinedaundefined=r|\overrightarrow{p}-\overrightarrow{a}|=r

「点 PP が球面上にある条件は,A(aundefined)A(\overrightarrow{a}) からの距離が rr である」ということを式で表しただけです。

簡潔ですが,結局計算をするときに両辺二乗して公式1に帰着させることになるので,受験ではあまり活躍しません。

直径の両端が分かっている場合

球面のベクトル方程式にはもう1種類あります。

線分 ABAB が直径となるような球面上に点 PP がある    APB=90\iff \angle APB=90^{\circ}

であることに注意すると,以下のような表現もできます。

公式4

線分 ABAB が直径となるような球面の方程式は,A(aundefined),B(bundefined)A(\overrightarrow{a}),B(\overrightarrow{b}) として

(pundefinedaundefined)(pundefinedbundefined)=0(\overrightarrow{p}-\overrightarrow{a})\cdot (\overrightarrow{p}-\overrightarrow{b})=0

なお,線分 ABAB が直径となるような球は,中心が aundefined+bundefined2\dfrac{\overrightarrow{a}+\overrightarrow{b}}{2} ,半径が aundefinedbundefined2\left|\dfrac{\overrightarrow{a}-\overrightarrow{b}}{2}\right| なので公式3を使うと pundefinedaundefined+bundefined2=aundefinedbundefined2\left|\overrightarrow{p}-\dfrac{\overrightarrow{a}+\overrightarrow{b}}{2}\right|=\left|\dfrac{\overrightarrow{a}-\overrightarrow{b}}{2}\right|

と書けます。この両辺を二乗して整理すると公式4と一致することが分かります。

極座標による球面の方程式

おまけです。高校数学では習いませんが,三次元極座標(球座標)を用いて表現することもできます。

公式5

原点中心で半径が rr であるような球面は,媒介変数 θ,ϕ\theta,\phi (ただし,0θπ,0ϕ<2π0\leq \theta \leq \pi,\:0\leq\phi <2\pi)を用いて以下のように表せる:

x=rcosθcosϕx=r\cos\theta\cos\phi
y=rcosθsinϕy=r\cos\theta\sin\phi
z=rsinθz=r\sin\theta

確かに x2+y2+z2=r2x^2+y^2+z^2=r^2 となっていることが確認できます。

高校数学の教科書には本質的に同じ公式がいろいろな表現で(あたかも全く別の新しい公式かのように)登場してくるケースがけっこうあります。

Tag:数学Bの教科書に載っている公式の解説一覧