最終更新:2019/04/14

共役複素数の覚えておくべき性質

分野: 複素数  レベル: 基本公式

複素数 $z$ について,虚部を $(-1)$ 倍した複素数のことを,共役な複素数と言い,$\overline{z}$ で表すことが多い。例えば,$2+3i$ の共役な複素数は $2-3i$

この記事では「複素数の共役」に関連する重要な2つの性質について解説します。

共役複素数とは

複素数 $a+bi$(ただし $(a, b)$ は実数)に対して $a-bi$ を共役複素数と言います。共役は「きょうえき」ではなく「きょうやく」と読みます。

  • $2+3i$ の共役複素数は $2-3i$ です。
  • $2i$ の共役複素数は $-2i$ です。
  • $3$ の共役複素数は $3$ です。(虚部だけをマイナスにするので,実数 $a$ の共役複素数は $a$ 自身です)

共役複素数の性質1

共役複素数を上記のように定義するといろいろ嬉しいことがあります。このページでは共役複素数に関して入試に役立つ性質を2つ紹介します。

以下では,複素数 $z$ の共役複素数を $\overline{z}$ と表します。

共役複素数の性質1:
任意の複素数 $z=a+bi$ に対して,$z\overline{z}$ は非負実数です。

例えば,$2+3i$ と,その共役な複素数 $2-3i$ の積は,
$(2+3i)(2-3i)=2^2+3^2=13$
となります。

より一般に,$a+bi$ と $a-bi$ の積は,
$(a+bi)(a-bi)=a^2+b^2\geq 0$
となります。

この性質は,分母に複素数が含まれている場合の実数化をはじめ,複素数が絡む多くの問題で用いられます。基本的な公式ですが,非常に重要です。

共役複素数の性質2

共役複素数の性質2:
実数係数多項式$=0$ という方程式
$\displaystyle\sum_{k=0}^na_kx^k=0$
に関して,$z$ が解なら $\overline{z}$ も解である。

教科書ではきちんと説明されていませんが,入試を戦う上では必須の知識です。導出方法も合わせて覚えておきましょう。

まず,$n=2$ のときは二次方程式の解の公式から,実数解2つ,または2つの解が $p+qi,p-qi$ という形をしていることがすぐにわかると思います。

次に, $n=3$ のときは,3つの解が全て実数,または $p+qi,p-qi,r$(ただし,$p,q,r$ は実数)と表せるということです。(頻出)

これが一般の $n$ で成立することを示すのは,証明を覚えてないと厳しいです。三段階に分けて証明します。

証明

(i)任意の複素数 $w,z$ に対して $\overline{wz}=\overline{w}\cdot\overline{z}$
これは,以下の式変形により示せる:
$\overline{(a+bi)(c+di)}\\
=\overline{ac-bd+i(ad+bc)}\\
=(ac-bd)-i(ad+bc)\\
=(a-bi)(c-di)$

(ii)任意の複素数 $w,z$ に対して $\overline{w+z}=\overline{w}+\overline{z}$
これは,以下の式変形により示せる:
$\overline{(a+bi)+(c+di)}\\
=\overline{a+c+i(b+d)}\\
=(a+c)-i(b+d)\\
=(a-bi)+(c-di)$

(iii)$z$ が解なら $\overline{z}$ も解。
$\displaystyle\sum_{k=0}^na_kz^k=0$ のとき,
両辺の共役複素数をとって,
$\overline{\displaystyle\sum_{k=0}^na_kz^k}=0$
ここで,性質(ii)を繰り返し用いる:
$\displaystyle\sum_{k=0}^n\overline{a_kz^k}=0$
さらに性質(i)と $\overline{a_k}=a_k$ 用いる:
$\displaystyle\sum_{k=0}^na_k\overline{z}^k=0$
これは $\overline{z}$ がもとの方程式の解であることを表している。

証明の途中で $a_k$ の共役複素数が $a_k$ であることを用いているので実数係数という条件は必須です。

余談:有理数係数の方程式に関しても似たような定理が成立します。→共役無理数に関する二つの定理

ちなみに大学の数学では複素ベクトル空間の標準内積を定義するときに自然に共役複素数が登場します

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