最終更新:2020/03/16

度数法ではなく弧度法を使うメリット

分野: 三角比・三角関数  レベル: 入試対策    

度数法とは,半回転分=$180^{\circ}$ となるような角度の表し方。
弧度法とは,半回転分=$\pi$ ラジアン となるような角度の表し方。


度数法と弧度法について,関連する公式を整理したあと,弧度法を使うメリットについて解説します。

度数法と弧度法

度数法では,「半回転分=180°」「1回転分=360°」です。このように,度数法では「度」という単位で角度の大きさを表します。
算数,中学数学では度数法を使うことが多いです。

弧度法では,「半回転分=$\dfrac{\pi}{2}$ラジアン」「1回転分=$\pi$ラジアン」です。このように,度数法では「ラジアン」という単位で角度の大きさを表します。
高校数学以降では度数法を使うことが多いです。

度数法と弧度法の変換

度数法と弧度法の定義から,以下がわかります。

「度」を「ラジアン」に変換する公式:
$x^{\circ}=\dfrac{\pi}{180}x$ ラジアン

「ラジアン」を「度」に変換する公式:
$x$ ラジアン$=\left(\dfrac{180x}{\pi}\right)^{\circ}$

弧の長さと面積の公式

度数法における弧の長さと面積の公式:
半径 $r$,中心角 $\theta^{\circ}$ の扇型の弧の長さは $\dfrac{\pi}{180}r\theta$,面積は $\dfrac{\pi r^2\theta}{360}$

弧度法における弧の長さと面積の公式:
半径 $r$,中心角 $\theta$ ラジアンの扇型の弧の長さは $r\theta$,面積は $\dfrac{r^2\theta}{2}$

弧度法を使うメリット

ここからが本題です。度数法ではなくわざわざ弧度法を使うのはなぜか考えてみます。

  • 弧の長さ,面積がシンプル:
    上記の「弧の長さと面積の公式」を見ると度数法よりも弧度法の方がややシンプルです。これは弧度法の利点と言えますが,この程度では「度数法よりも弧度法の方が優れている」という強い理由にはならないと思います。
  • 三角関数の極限,微分などの操作がシンプル:
    弧度法の本当の嬉しさを理解できるのは,数学3で三角関数の極限を習ってからです。以下では,この嬉しさについて理解するために,度数法の場合と弧度法の場合を比較してみます,弧度法の存在意義を実感して下さい!

弧度法の場合

弧度法の利点を端的に言うと公式1の美しさです。

公式1:正弦の極限公式:$\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{\sin x}{x}=1$

公式2:三角関数の微分:$(\sin x)’=\cos x,(\cos x)’=-\sin x$

公式3:正弦のマクローリン展開:$\sin x=x-\dfrac{x^3}{3!}+\dfrac{x^5}{5!}-\cdots$

1の証明は,sinx/xについて覚えておくべき2つのことの中盤にあります。1を使うことで2が証明できます。

さらに2を使ってサインの高階導関数が求まり,3が導出できます。公式3は高校数学の範囲外ですが知っておくとよいです。
→マクローリン展開

度数法の場合

上記の3つの公式について,度数法の世界で考えると以下のようになります。

公式1:正弦の極限公式:$\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{\sin x}{x}=\dfrac{\pi}{180}$

公式2:三角関数の微分:$(\sin x)’=\dfrac{\pi}{180}\cos x$
$(\cos x)’=-\dfrac{\pi}{180}\sin x$

公式3:正弦のマクローリン展開:$\sin x=\dfrac{\pi}{180}x-\dfrac{\pi^3}{180^3}\dfrac{x^3}{3!}+\dfrac{\pi^5}{180^5}\dfrac{x^5}{5!}-\cdots$

証明自体は弧度法の場合と全く同様にできますが,結果は非常に汚くなります(特に公式3)。弧度法の場合の方が断然美しいですね。

つまり,度数法よりも弧度法が本質的に優れているという訳ではありませんが,度数法を使うと比例定数 $\dfrac{\pi}{180}$ がいろいろなところに出現してとてもめんどうなので弧度法を使うのがよい,と言えます。

文系の人は数学3を習わないので,弧度法の素晴らしさを理解できないまま弧度法を使わざるを得ないということになります。

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