最終更新:2019/04/29

偏微分の意味と高校数学への応用

分野: 極限,微分  レベル: 最難関大学

偏微分とは,多変数関数を「特定の文字以外定数だとみなして」微分したもののことです。

偏微分について,高校数学の範囲で理解できるように解説します。一見難しそうな偏微分ですが,概念自体は難しくありません。

偏微分の意味

例えば,
$f(x,y)=x^2+y^3+5y+xy$
という,$x$ と $y$ についての関数を考えてみます。

これを「$x$ 以外は定数とみなして」微分すると,$2x+y$ となります。つまり$x$ についての偏微分は $2x+y$ となります。

このように,特定の文字以外を定数とみなして微分したものを偏微分(偏導関数)と言います。「偏微分」というたいそうな名前がついていますが,微分の計算自体は一変数の場合と全く同じです。

偏微分の記号

$x$ についての偏微分は $\dfrac{\partial f(x,y)}{\partial x},\:f_x$ などの記号を使って表します。

また,$y$ についての偏微分は $\dfrac{\partial f(x,y)}{\partial y},\:f_y$ などの記号を使って表します。

偏微分の計算例

偏微分に慣れるために,もう1つ計算例を見てみます。

$f(x,y)=\sin(x+2y)+e^{x}+\log y$
のとき,

$x$ に関する偏微分は($y$ を定数だとみなして微分すると)
$\dfrac{\partial f(x,y)}{\partial x}=\cos (x+2y)+e^x$

$y$ に関する偏微分は($x$ を定数だとみなして微分すると)
$\dfrac{\partial f(x,y)}{\partial y}=2\cos(x+2y)+\dfrac{1}{y}$

偏微分の正確な定義

偏微分の定義をきちんと書いてみます。

一変数関数 $f(x)$ の微分とは,変数を少し動かしたときの変化の割合を表していました:
$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{f(x+h)-f(x)}{h}$

同様に,偏微分とは,特定の一つの変数のみを少し動かしたときの関数 $f$ の変化の割合を表します。例えば $f(x,y)$ の $x$ についての偏微分は
$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{f(x+h,y)-f(x,y)}{h}$
となります。

偏微分についての小話

  • 偏微分が難しいのは高階微分が登場する場合や,$\varepsilon -\delta$ 論法を用いて厳密に議論する場合です。高校数学では高階の偏微分や $\varepsilon -\delta$ は覚える必要はないので敬遠する必要はありません。
    イプシロンデルタ論法とイプシロンエヌ論法
  • ちなみに,多変数関数にはもう一つ「全微分」という概念があります。これは,全ての変数を少し動かしたときの関数 $f$ の変化の割合のようなもので,偏微分よりもやや難しいです。
  • 高校数学では偏微分も全微分も登場しませんが,偏微分は知っているとよいことがあります。(後述の応用参照)

偏微分の高校数学への応用

偏微分の応用を5つ紹介します。いずれも高校数学の範囲で理解できます。

偏微分が難しくなるのは大学入ってからです。

Tag: 数検1級の範囲と必要な公式まとめ