偶関数と奇関数の意味,性質などまとめ

偶関数と奇関数の定義,意味,見分け方,性質を解説します。

グラフを描いたり定積分の計算に役立つ考え方です。

偶関数の定義,見分け方

1(定義).任意の実数 xx に対して f(x)=f(x)f(x)=f(-x) を満たす関数を偶関数と言います。

偶関数のグラフ

2(グラフによる特徴付け). y=f(x)y=f(x) のグラフが yy 軸に関して対称,と言っても同じことです。

3(見分け方). xx の偶数乗の項のみで構成された関数は偶関数です。

偶関数の例

f(x)=x2,f(x)=x4+3,f(x)=cosxf(x)=x^2,\:f(x)=x^4+3,\:f(x)=\cos x

いずれも f(x)=f(x)f(x)=f(-x) が簡単に確認できる。

注:定数項は0乗の項とみなします。

奇関数の定義,見分け方

1(定義).任意の実数 xx に対して f(x)=f(x)f(x)=-f(-x) を満たす関数を奇関数と言います。

奇関数のグラフ

2(グラフによる特徴付け). y=f(x)y=f(x) のグラフが原点に関して対称,と言っても同じことです。

3(見分け方). xx の奇数乗の項のみで構成された関数は奇関数です。

奇関数の例

f(x)=x3,f(x)=6x3+x,f(x)=sinxf(x)=x^3,\:f(x)=6x^3+x,\:f(x)=\sin x

いずれも f(x)=f(x)f(x)=-f(-x) が簡単に確認できる。

注:多項式の場合,偶関数なのか奇関数なのかどちらでもないのか,項の次数を見ることで簡単に見分けることができました。実は sinx\sin xcosx\cos x などもマクローリン展開を知っていればこの判別方法が通用します。ただ,直接定義式(f(x)=f(x)f(x)=f(-x) など)に戻って確認する方が早いですが。

奇関数,偶関数と定積分

偶関数,奇関数が活躍する最大のポイントです。

f(x)f(x) が偶関数のとき,aaf(x)dx=20af(x)dx\displaystyle\int_{-a}^{a}f(x)dx=2\int_0^af(x)dx

f(x)f(x) が奇関数のとき,aaf(x)dx=0\displaystyle\int_{-a}^{a}f(x)dx=0

奇関数,偶関数のグラフを考えてみると上記公式が成り立つのは当たり前に思えますが,定義に従ってきちんと証明しておきます。

証明

まず積分区間を分解する。

aaf(x)dx=a0f(x)dx+0af(x)dx\displaystyle\int_{-a}^{a}f(x)dx=\displaystyle\int_{-a}^0f(x)dx+\int_0^af(x)dx

次に第一項を置換積分する。 y=xy=-x と置換すると,第一項は

a0f(y)(1)dy=0af(y)dy\displaystyle\int_{a}^0f(-y)(-1)dy=\displaystyle\int_0^af(-y)dy

f(x)f(x) が偶関数のとき

f(y)=f(y)f(-y)=f(y) より aaf(x)dx=20af(x)dx\displaystyle\int_{-a}^{a}f(x)dx=2\int_0^af(x)dx

f(x)f(x) が奇関数のとき

f(y)=f(y)f(-y)=-f(y) より,第一項と第二項が打ち消し合って aaf(x)dx=0\displaystyle\int_{-a}^{a}f(x)dx=0 となる。

この公式を使うことでかなり計算が楽になることは多いです!

例題

S=11{(x3+x2+1)2x6x4}dxS=\displaystyle\int_{-1}^1\{(x^3+x^2+1)^2-x^6-x^4\}dx を計算せよ。

解答

(x3+x2+1)2x6x4=1+2x5+2x2+2x3(x^3+x^2+1)^2-x^6-x^4=1+2x^5+2x^2+2x^3 だが,上記公式を用いると偶数次の項のみが残って以下を得る:

S=201(2x2+1)dxS=2\displaystyle\int_{0}^1(2x^2+1)dx

これを計算すると,2(23+1)=1032\left(\dfrac{2}{3}+1\right)=\dfrac{10}{3} となる。

偶関数,奇関数の和,積

偶関数+偶関数=偶関数

奇関数+奇関数=奇関数

奇関数×奇関数=偶関数

奇関数×偶関数=奇関数

偶関数×偶関数=偶関数

どれも定義式を使うことで簡単に確認できます。覚える必要はありませんが証明できるようになっておきましょう。

証明

奇関数×奇関数=偶関数のみ証明する。他も同様。

f(x),g(x)f(x),g(x) が奇関数のとき,f(x)=f(x),g(x)=g(x)f(x)=-f(-x),g(x)=-g(-x) であるので,

f(x)g(x)=f(x){g(x)}=f(x)g(x)f(x)g(x)=-f(-x)\cdot \{-g(-x)\}=f(-x)g(-x)

となる。つまり f(x)g(x)f(x)g(x) は偶関数である。

おまけ

任意の関数は偶関数と奇関数の和に分解できます! 行列・関数・多項式に共通する有名な性質

奇関数が機関数と変換されたり,数学用語の予測変換はまだまだ物足りないです。

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