最終更新:2019/05/03

導関数の意味といろいろな例

分野: 極限,微分  レベル: 基本公式

微分係数と導関数の意味を確認した後,いろいろな関数の導関数を計算します。導関数の計算で高校数学の総復習ができます。

微分係数と導関数

微分係数とは

微分係数の意味

微分係数 $f'(a)$ の定義は,
$f'(a)=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{f(a+h)-f(a)}{h}$
です。微分係数は,関数 $f(x)$ の $x=a$ における接線の傾きを表します。

導関数とは

導関数 $f'(x)$ の定義は,
$f'(x)=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{f(x+h)-f(x)}{h}$
です。導関数とは「いろいろな $a$ における微分係数を集めて,それを関数とみなしたもの」です。「値を入力したらその値における微分係数を返す関数」とも言えます。

微分係数は「値」ですが,導関数は「関数」です。定義は似ていますが,意味は違います。

微分するとは

「導関数を計算する」ことを「微分する」と言います。

導関数の計算で高校数学を総復習

「いろいろな関数の導関数を定義に従って計算する」ことで高校数学のいろいろな分野の復習ができます。

例えば,
$x^n$ の微分は二項定理
$\dfrac{1}{x}$ の微分は分数式の計算
$\sqrt{x}$ の微分は有理化
$\sin x$ の微分は三角関数の加法定理
$e^x$ の微分はネイピア数の性質
をそれぞれ理解していないと難しいです(計算の詳細は後述)。

つまり,上記の導関数たちを定義に従ってスラスラ計算できれば,高校数学全体を(おおまかには)理解していると言えるでしょう。

導関数の計算例

上記の5つの関数について,定義に従って導関数を計算してみます。

$x^n$ の導関数(二項定理の復習)
$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{(x+h)^n-x^n}{h}\\
=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{nhx^{n-1}+{}_n\mathrm{C}_2h^2x^{n-2}+\cdots +h^n}{h}\\
=nx^{n-1}$
詳細はべき関数(y=x^n)の微分公式の3通りの証明

$\dfrac{1}{x}$ の導関数(分数式の計算の復習)
$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{\frac{1}{x+h}-\frac{1}{x}}{h}\\
=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{1}{h}\left\{\dfrac{x-(x+h)}{x(x+h)}\right\}\\
=-\dfrac{1}{x^2}$

$\sqrt{x}$ の導関数(有理化の復習)
$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{\sqrt{x+h}-\sqrt{x}}{h}\\
=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{(x+h)-x}{h(\sqrt{x+h}+\sqrt{x})}\\
=\dfrac{1}{2\sqrt{x}}$

$\sin x$ の導関数(加法定理の復習)
$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{\sin(x+h)-\sin x}{h}\\
=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{\sin x(\cos h-1)+\cos x\sin h}{h}\\
=\cos x$
詳細はsinxの微分公式の3通りの証明

$e^x$ の導関数(ネイピア数の復習)
$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{e^{x+h}-e^x}{h}\\
=\displaystyle\lim_{h\to 0}e^x\cdot\dfrac{e^h-1}{h}\\
=e^x$
極限計算の詳細は指数関数と対数関数の極限の公式

「高校数学の美しい物語」と言いつつ最近は大学数学が多かったので,今回は高校数学の基礎です。

Tag: 数学3の教科書に載っている公式の解説一覧