最終更新:2019/04/23

三角関数の合成公式の証明と応用

分野: 三角比・三角関数  レベル: 基本公式

三角関数の合成公式とは,sin と cos が混ざった式を,sin だけで表すための,以下のような公式です。
$a\sin\theta+b\cos\theta=\sqrt{a^2+b^2}\sin(\theta+\alpha)$

三角関数の合成とは

例えば,
$\sin\theta+\sqrt{3}\cos\theta$
という式は $\sin$ と $\cos$ が混ざっていますが,実は,以下のように $\sin$ だけで表すことができます:
$\sin\theta+\sqrt{3}\cos\theta=2\sin\left(\theta+\dfrac{\pi}{3}\right)$

実際,右辺を三角関数の加法定理を使って展開すると,
$2\sin\theta\cos\dfrac{\pi}{3}+2\cos\theta\sin\dfrac{\pi}{3}\\
=\sin\theta+\sqrt{3}\cos\theta$
となり,左辺と一致します。

このように,
$a\sin\theta+b\cos\theta$
という式を,
$A\sin(\theta+\alpha)$
のような形で表現することを三角関数の合成と言います。

三角関数の合成公式

$a\sin\theta+b\cos\theta$ を合成する公式です。

三角関数の合成公式:
($a$ と $b$ のいずれかが $0$ でないとき)
$a\sin\theta+b\cos\theta=\sqrt{a^2+b^2}\sin(\theta+\alpha)$
ただし,$\alpha$ は $\sin\alpha=\dfrac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}$,$\cos\alpha=\dfrac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}$ を満たす角度。

合成公式を使って,さきほどの例:
$\sin\theta+\sqrt{3}\cos\theta$
を合成してみましょう。

$a=1,b=\sqrt{3}$ の場合です。
$\sqrt{a^2+b^2}=2$
です。また,
$\sin\alpha=\dfrac{\sqrt{3}}{2},\:\cos\alpha=\dfrac{1}{2}$
より,$\alpha=\dfrac{\pi}{3}$ とすればよいです(後述の簡便法を使うとより楽)。

よって,
$\sin\theta+\sqrt{3}\cos\theta=2\sin\left(\theta+\dfrac{\pi}{3}\right)$

三角関数の合成公式の応用

三角関数の合成公式を使うと,「サインとコサインの定数倍の和」という扱いにくい関数をサイン(を平行移動したもの)という分かりやすい関数に変形することができます。

そのため,以下の例題のように,関数の最大値や最小値を計算しやすくなります。

例題

$\theta$ が実数全体を動くとき,$f(\theta)=2\sin\theta+3\cos\theta$ の最大値,最小値を求めよ。

同様に合成すると,
$f(\theta)=\sqrt{13}\sin(\theta+\alpha)$
ただし,$\alpha$ はとある実数(具体的に求める必要はない)。
よって $f(\theta)$ の最小値は$-\sqrt{13}$,最大値は $\sqrt{13}$ である。

合成公式の証明

三角関数の合成公式の証明自体は簡単です。加法定理を使って右辺を展開するのみです。

証明

$\sin$ の加法定理より,
$\sqrt{a^2+b^2}\sin(\theta+\alpha)\\=\sqrt{a^2+b^2}(\cos\alpha\sin\theta+\sin\alpha\cos\theta)$
ここで,$\sin\alpha=\dfrac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}$,$\cos\alpha=\dfrac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}$ を代入すると,三角関数の合成公式(サイン)を得る。

コサインバージョンの合成公式

「サインだけで表す」公式だけでなく「コサインだけで表す」公式もあります:

$a\sin\theta+b\cos\theta=\sqrt{a^2+b^2}\cos(\theta+\beta)$
ただし,$\beta$ は $\sin\beta=-\dfrac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}$,$\cos\beta=\dfrac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}$ を満たす角度。

入試で使う分にはサインバージョンだけ覚えておけば十分ですが,「サインでできることはコサインでもできる」という認識は重要です。

コサインバージョンは,コサインの加法定理を使って証明できます。また,サインの合成公式において位相をズラすことでも証明できます($\sin(\theta+\dfrac{\pi}{2})=\cos\theta$ を使う)。

合成公式の覚え方

$a\sin\theta+b\cos\theta=\sqrt{a^2+b^2}\sin(\theta+\alpha)$
ただし,$\alpha$ は $\sin\alpha=\dfrac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}$,$\cos\alpha=\dfrac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}$

という合成公式は, $xy$ 平面で$(a,b)$ という点を書くと覚えやすいです:

三角関数の合成
  • $(a,b)$ の偏角(図の角度)が $\alpha$ に対応しています。
  • $\sqrt{a^2+b^2}$ は原点と$(a,b)$ の距離に対応しています。

これはあくまで簡単に覚えるための方法です。コサインの方で覚えようとすると状況は変わってきます。本質的な話ではありません。

コメント

三角関数の合成公式は上記のように簡単に導出できます。そのため「 $a\sin\theta+b\cos\theta$ という式を見たときに,加法定理を逆に使えば合成公式は導けるので覚える必要はない」という主張を聞いたことがあります。

しかし,合成公式は頻繁に使うので時短のためにも上述の簡便法でサインバージョンを覚えてしまうことをオススメします。

公式の証明,本質をきちんと理解した上で,でもよく使う公式は邪道な方法でもいいから素早く使えるようになるべし。

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