2009年APMO第2問の解説

代数の面白い問題です。

問題

a1,a2,a3,a4,a5a_1,a_2,a_3,a_4,a_5 を以下の5つの方程式を満たす実数とする。

p=15apk2+p=1k2(k=1,2,5)\displaystyle\sum_{p=1}^5\dfrac{a_p}{k^2+p}=\dfrac{1}{k^2}\: (k=1,2\cdots,5)

このとき,M=a137+a238+a339+a440+a541M=\dfrac{a_1}{37}+\dfrac{a_2}{38}+\dfrac{a_3}{39}+\dfrac{a_4}{40}+\dfrac{a_5}{41} の値を求めよ。

方針

  • 5変数で独立な一次方程式が5つあるので a1a_1 から a5a_5 まで頑張れば求めることができます。しかし,猛烈な計算が必要になります。おそらく一時間くらいはかかります(一時間かけてでも正解すれば儲けものですが,高確率で計算ミスします)。求めるのは a1a_1 たちではなく,MM なので何かうまいやり方があるはずです。

  • 両辺の差を f(k)f(k) とおくと,「k=1,2,3,4,5k=1,2,3,4,5f(k)=0f(k)=0 となる」とみなせます。よって因数定理が使えます。しかも,「f(6)f(6) を求めたらよい」と目標が簡単になりました。方程式たちを kk の関数と見るというのが一番の難所です。

  • さらに,f(k)f(k)k2k^2 のみの関数,つまり偶関数であることを利用して因数定理を用います(第二の難所)。

解答

解答

f(k)=p=15apk2+p1k2f(k)=\displaystyle\sum_{p=1}^5\dfrac{a_p}{k^2+p}-\dfrac{1}{k^2} とおく。

f(k)f(k) を通分すると,f(k)=g(k)k2(k2+1)(k2+2)(k2+3)(k2+4)(k2+5)()f(k)=\dfrac{g(k)}{k^2(k^2+1)(k^2+2)(k^2+3)(k^2+4)(k^2+5)}\cdots(※) という形になる。(ただし,g(k)g(k)1010 次多項式)

ここで,k=1,2,3,4,5k=1,2,3,4,5f(k)=0f(k)=0 つまり g(k)=0g(k)=0 なので,因数定理により g(k)g(k)(k1)(k2)(k3)(k4)(k5)(k-1)(k-2)(k-3)(k-4)(k-5) を因数に持つ。

さらに,g(k)g(k) は偶関数なので,(k+1)(k+2)(k+3)(k+4)(k+5)(k+1)(k+2)(k+3)(k+4)(k+5) を因数に持つ。

よって,g(k)=A(k21)(k24)(k29)(k216)(k225)g(k)=A(k^2-1)(k^2-4)(k^2-9)(k^2-16)(k^2-25)

となりあとは AA を求めればよい。

の両辺を k2k^2 倍して k=0k=0 を代入すると,1=g(0)12345-1=\dfrac{g(0)}{1\cdot 2\cdot 3\cdot 4\cdot 5}

これより,A=1120A=\dfrac{1}{120} が分かり g(x)g(x) が求まった。

よって,求める値は,

f(6)+136=g(6)363738394041+136=3532272011120363738394041+136=1874656744582f(6)+\dfrac{1}{36}\\ =\dfrac{g(6)}{36\cdot 37\cdot 38\cdot 39\cdot 40\cdot 41}+\dfrac{1}{36}\\ =\dfrac{35\cdot 32\cdot 27\cdot 20\cdot 11}{120\cdot 36\cdot 37\cdot 38\cdot 39\cdot 40\cdot 41}+\dfrac{1}{36}\\ =\dfrac{187465}{6744582}

発想は面白い問題ですが,最後の1行の計算がめんどくさすぎです!

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