2014/05/13

ヤングの不等式の3通りの証明

分野: 積分  レベル: 最難関大学

ヤングの不等式:
$a.b > 0,p,q > 1, \dfrac{1}{p}+\dfrac{1}{q}=1$ を満たすとき,
$\dfrac{a^p}{p}+\dfrac{b^q}{q}\geq ab$

ヤングの不等式

他の不等式を導くためにヤングの不等式を利用することはほとんどありませんが,ヤングの不等式にまつわる入試問題は頻出(特に以下で述べる方法1)です。

1:積分を用いて図形的に証明する方法
2:イェンゼンの不等式を用いる方法
3:重み付き相加相乗平均の不等式を用いる方法

1:積分を用いて図形的に証明する方法

方針:より一般的な不等式(こちらを積分形のヤングの不等式ということもある):
単調増加な連続関数 $f(x)$ とその逆関数 $g(x)$ において,$f(0)=0$ のとき,
$\displaystyle\int_0^af(t)dt+\int_0^bg(t)dt\geq ab$
を示します。この式に $f(x)=x^{p-1}$ を用いればご所望の式が得られます。

ヤングの不等式

証明

積分形のヤングの不等式の左辺第一項は赤い部分の面積。左辺第二項は青い部分の面積。右辺は紫の長方形の面積。
よって図形的に成立。
ここで,$f(x)=x^{p-1}$ とおくと,$\dfrac{1}{p-1}=q-1$ より逆関数は $g(x)=x^{q-1}$ となる。
よって,$\displaystyle\int_0^af(t)dt=\dfrac{a^p}{p}$ などにより,積分形のヤングの不等式からご所望の式が得られる。

なお,逆関数の求め方については逆関数の3つの定義と使い分けを参照してください。

2:イェンゼンの不等式を用いる方法

方針:係数の和が $1$ なのでイェンゼンの不等式が使えそうな形です。イェンゼンの不等式は教科書範囲外ですが,既知とすれば以下のような考え方もできます。

証明

$f(x)=e^x$ とおくと,$f”(x)=e^x>0$ より $f(x)$ は凸関数である。よってイェンゼンの不等式より,
$\dfrac{f(x)}{p}+\dfrac{f(y)}{q}\geq f(\dfrac{x}{p}+\dfrac{y}{q})$
つまり,$\dfrac{e^x}{p}+\dfrac{e^y}{q}\geq e^{\tfrac{x}{p}}e^{\tfrac{y}{q}}$
ここで,$x=p\log a,y=q\log b$ とおくとヤングの不等式を得る。

3:重み付き相加相乗平均の不等式を用いる方法

方針:係数の和が $1$ なので重み付き相加相乗平均の不等式も使えそうです。重み付き相加相乗平均の不等式は教科書範囲外ですが,既知とすれば以下の様な考え方もできます。

証明

重み付き相加相乗平均の不等式:$w_1a_1+w_2a_2\geq a_1^{w_1}a_2^{w_2}$ において,
$w_1=\dfrac{1}{p},w_2=\dfrac{1}{q}$,$a_1=a^p, a_2=b^q$ とおくとヤングの不等式になる。

つまり,ヤングの不等式は重み付き相加相乗平均の不等式の特殊形とみることもできるのです。

積分を用いた導出はなかなかに美しいです
分野: 積分  レベル: 最難関大学