2015/02/08

四平方の定理(図形の面積と正射影)

分野: 空間図形  レベル: 最難関大学

四平方の定理

四平方の定理(四面体):
4つの面のうち3つが直角三角形である図のような三角錐において,
$|ABC|^2=|OAB|^2+|OBC|^2+|OCA|^2$

ただし,$|ABC|$ で三角形 $ABC$ の面積を表します。三平方の定理の三次元空間バージョンです!

なお,四平方の定理というと整数論におけるラグランジュの四平方和定理(→整数論の美しい定理7つの5つ目)のことを指す場合もあるので注意して下さい。

四平方の定理の証明

さっそく証明します!空間座標で考えます。三角形 $ABC$ の面積は点と平面の距離公式を利用して計算します。

証明

$O(0,0,0),A(a,0,0),B(0,b,0),C(0,0,c)$ となる座標系で考える。

$|OAB|=\dfrac{ab}{2},|OBC|=\dfrac{bc}{2},|OCA|=\dfrac{ca}{2}$
は簡単に求まるので,あとは $|ABC|$ を求めればよい。

そのためにまず,三角形 $ABC$ と原点の距離 $d$ を求める。
$A,B,C$ を含む平面の方程式は切片方程式の考え方により,$\dfrac{x}{a}+\dfrac{y}{b}+\dfrac{z}{c}=1$
よって,点と平面の距離公式より $d=\dfrac{1}{\sqrt{\frac{1}{a^2}+\frac{1}{b^2}+\frac{1}{c^2}}}$

次に,四面体 $OABC$ の体積を二通りで表すことにより,
$\dfrac{abc}{6}=\dfrac{1}{3}d|ABC|$
よって,
$|ABC|=\dfrac{abc}{2d}=\dfrac{1}{2}\sqrt{a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2}$

以上の(赤文字の)式より $|ABC|^2=|OAB|^2+|OBC|^2+|OCA|^2$

なお,$|ABC|$ はヘロンの公式(の変形バージョン)を使って求めることもできます。

一般化

実はもっと一般の図形でも四平方の定理は成立します!

四平方の定理(一般):
面積が $S$ であるような三次元空間内の平面図形を $yz$ 平面に正射影した図形の面積を $S_x$ とおく。同様に $S_y,S_z$ も定義する。このとき $S^2=S_x^2+S_y^2+S_z^2$

$yz$ 平面への正射影とは,もとの図形に $x$ 軸方向から光を当てたときの影です。

$S$ が三角形のとき,先ほどの四平方の定理と一致するので,この定理は先程の定理の一般化になっています。

正射影と面積

上記の定理を証明するためには前提知識が二つ必要になります。

1:「平面 $P$ に含まれ,面積が $S$ である図形」を平面 $Q$ に正射影したときの面積は $S\cos\theta$ である。
ただし,$\theta$ は平面 $P$ と平面 $Q$ のなす角。

正射影と面積

これは有名な性質なので覚えておきましょう。 $S$ が(一辺が平面 $P$ と $Q$ の交線と平行な)長方形の場合には簡単に確認できます。一般の図形はそのような長方形がたくさん集まったものとみなすことで納得できます(厳密には積分)。


2:平面 $P$ と平面 $Q$ のなす角は,それぞれの平面の法線ベクトルがなす角に等しい。

これは実際に平面(紙など)を二つ使って納得してください!

証明

証明

$P$ の長さ $1$ の法線ベクトルを$(n_x,n_y,n_z)$ とおく。
$yz$ 平面の法線ベクトルは$(1,0,0)$ なので,二つの法線ベクトルがなす角のコサインは(内積を考えることで)$n_x$ となる。

よって,$P$ と $yz$ 平面のなす角を $\theta_x$ とおくと,前提知識2より
$\cos\theta_x=n_x$ となる。

さらに,前提知識1より $S\cos\theta_x=S_x$ なので,$Sn_x=S_x$

同様に $Sn_y=S_y,Sn_z=S_z$ であるので,
$S_x^2+S_y^2+S_z^2=S^2(n_x^2+n_y^2+n_z^2)=S^2$
を得る。

地味ですがかなりすごい定理だと思います。
分野: 空間図形  レベル: 最難関大学