最終更新:2015/07/21

重み付き相加相乗平均の不等式の証明

分野: 不等式  レベル: 数学オリンピック

重み付き相加相乗平均の不等式:
非負実数 $a_1, a_2,\cdots, a_n$ と重み $w_1, w_2, \cdots, w_n$ に対して以下の不等式が成立する。
$\displaystyle\sum_{i=1}^nw_ia_i\geq \displaystyle\prod_{i=1}^na_i^{w_i}$
等号成立条件は $a_1=a_2=\cdots =a_n$


このページでは $w_1, w_2,\cdots,w_n$ の各成分が非負で和が1となる場合を重みということにします。
見た目は少しゴツいですが,本質的には相加相乗平均の不等式と同じものなので意味は理解しやすいと思います。

具体例(頻出の形)

$n=2, 3$ の場合が頻出です:
$w_1+w_2=1$ のとき $w_1a_1+w_2a_2\geq a_1^{w_1}a_2^{w_2}$
等号成立条件は,$a_1=a_2$

$w_1+w_2+w_3=1$ のとき $w_1a_1+w_2a_2+w_3a_3\geq a_1^{w_1}a_2^{w_2}a_3^{w_3}$
等号成立条件は,$a_1=a_2=a_3$

また,$w_1=w_2=\cdots=w_n=\dfrac{1}{n}$ とおくと相加相乗平均の不等式になります:
$\displaystyle\sum_{i=1}^na_i\geq n\sqrt[n]{\displaystyle\prod_{i=1}^na_i}$

このように,重み付き相加相乗から相加相乗が導かれるのですが,逆に相加相乗から重み付き相加相乗を導くこともできるのです!(以下の証明1)
つまり,重み付き相加相乗と重みなし相加相乗は本質的には同じものであるということが分かります。

証明1:重みなし相加相乗平均の不等式を用いた証明

使うのは相加相乗平均の不等式のみです。相加相乗平均の不等式が使えるように重みを整数にします。

証明

まず,重みの各成分が有理数である場合を考える。 $w_i$ たちの分母の最小公倍数を $d$ とする。重みを $d$ 倍して各成分を整数にしたもの $(dw_1, dw_2,\cdots, dw_n)$ を考える。各 $a_i$ を $dw_i$ 個用いて相加相乗平均の不等式を適用することで証明される。
相加平均:$\dfrac{dw_1a_1+dw_2a_2+\cdots+dw_na_n}{dw_1+dw_2+\cdots+dw_n}=\displaystyle\sum_{i=1}^nw_ia_i$
相乗平均:$\sqrt[d]{a_1^{dw_1}a_2^{dw_2}\cdots a_n^{dw_n}}=\displaystyle\prod_{i=1}^na_i^{w_i}$

重みが無理数の場合も,十分近い有理数の重みで成立するのだから問題ないということが直感的に明らかでしょう。(厳密には有理数の稠密性と $\varepsilon -\delta$ 論法を用いて証明できます)

証明2:イェンゼンの不等式を用いた証明

$-\log x$ が凸関数であることを利用して凸関数の不等式(イェンゼンの不等式)を用います。

証明

いずれかの $i$ で $a_i=0$ のときは自明なので $a_i>0$ の場合を考える。
$f(x)=-\log x$ とおくと,$f^{\prime\prime}(x)=\dfrac{1}{x^2}>0$ より,$f(x)$ は凸関数。
よって,イェンゼンの不等式より,
$-w_1\log a_1-w_2\log a_2 -\cdots -w_n\log a_n\geq -\log (w_1a_1+w_2a_2+\cdots+w_na_n)$
これを整理して対数の中身を比べると重み付き相加相乗平均の不等式となる。

エレガントですね、おそらく最も有名な証明法でしょう。

重みがついても等号成立条件は変わらない

Tag: 数学オリンピック突破のための有名不等式まとめ

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