2014/06/19

ウォリスの公式とその2通りの証明

分野: 極限,微分  レベル: マニアック

ウォリスの公式:
$S=\displaystyle\prod_{n=1}^{\infty}\dfrac{(2n)^2}{(2n-1)(2n+1)}=\dfrac{\pi}{2}$


美しい無限積の公式です。

ウォリスの公式について

・とりあえず左辺の無限積を実際に書いて様子を観察してみます:
$\dfrac{2\cdot 2}{1\cdot 3}\dfrac{4\cdot 4}{3\cdot 5}\dfrac{6\cdot 6}{5\cdot 7}\cdots$
この値を計算すると円周率が登場するというのは不思議です。

  • ウォリスの公式を用いて似たようないくつかの無限積の公式を導くことができます。高校数学で無限積を扱う問題はあまり出題されませんが,もし出題されたら(されていたら)その多くはウォリスの公式に関係したものでしょう。
  • ウォリスの公式はスターリングの公式の証明にも用いられる重要な公式です。

ウォリスの公式の証明

方針:左辺では1個飛ばしの自然数の積が登場します。そこで,似たような形が出現する $\sin$ の $n$ 乗の積分を用います。(これを自力で思いつくのはかなり厳しい。)部分積分を用いて定積分の値を求めるのはsinのn乗,cosのn乗の積分公式を参照してください。

証明

$I_n=\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^nxdx$ とおく。
$0$ から $\dfrac{\pi}{2}$ では $\sin x \geq 0$ より,$0 <I_{2n+2} <I_{2n+1} <I_{2n}$
また,部分積分を用いることで,$I_{2n}$ たちが以下のように計算できる:
$\dfrac{\pi}{2}\dfrac{(2n+1)!!}{(2n+2)!!} <\dfrac{(2n)!!}{(2n+1)!!} <\dfrac{\pi}{2}\dfrac{(2n-1)!!}{(2n)!!}$
ここで,ウォリスの公式の左辺を登場させるために各辺を $\dfrac{(2n-1)!!}{(2n)!!}$ で割る:
$\dfrac{\pi}{2}\dfrac{2n+1}{2n+2} <\displaystyle\prod_{k=1}^{n}\dfrac{(2k)^2}{(2k-1)(2k+1)} < \dfrac{\pi}{2}$ よって,$n \to \infty$ とするとはさみ打ちの原理よりウォリスの公式を得る。

ウォリスの公式の別証

以下の方法は形式的で厳密には複素関数論を必要としますが,面白い方法なので紹介しておきます。

(説明)
$\sin x$ は $x=0,\pm \pi,\pm 2\pi\cdots$ で $0$ となるので,因数定理っぽいものが使えて,
$\sin x=Ax(1-\dfrac{x}{\pi})(1+\dfrac{x}{\pi})(1-\dfrac{x}{2\pi})(1+\dfrac{x}{2\pi})(1-\dfrac{x}{3\pi})(1+\dfrac{x}{3\pi})\cdots$
と表せる。($A$ は定数)
また,$\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{\sin x}{x}=1$ より,$A=1$ が分かる。
と展開できる。
よって,$x=\dfrac{\pi}{2}$ を代入すると,
$1=\sin \dfrac{\pi}{2}=\dfrac{\pi}{2}(1-\dfrac{1}{2^2})(1-\dfrac{1}{4^2})(1-\dfrac{1}{ 6^2})\cdots\\
=\dfrac{\pi}{2}\dfrac{1\cdot 3}{2^2}\dfrac{3\cdot 5}{4^4}\dfrac{5\cdot 7}{6^6}\cdots$
となりウォリスの公式を得る。

個人的には別証がとても美しいので大好きです

Tag: 無限和,無限積の美しい公式まとめ

分野: 極限,微分  レベル: マニアック