2015/05/11

二次元極座標における運動方程式とその導出

分野: 物理  レベル: 大学数学

二次元において運動方程式を極座標で記述すると,
$m(\ddot{r}-r\dot{\theta}^2)=F_r$
$m\dfrac{1}{r}\dfrac{d}{dt}(r^2\dot{\theta})=F_{\theta}$


ただし,$\dot{r}$ は $r$ の時間微分 $\dfrac{dr}{dt}$ を表します。ドット二つは二階微分です。

$F_r$ は力の $r$ 成分,$F_{\theta}$ は力の $\theta$ 成分($\theta$ を増やそうとする向きの成分,後述の図参照)を表します。

直交座標と極座標における運動方程式

二次元直交座標における運動方程式は,$m\ddot{x}=F_x$,$m\ddot{y}=F_y$ と非常に単純です。

しかし,クーロン力や万有引力などの中心力を扱うときには $F_{\theta}=0$ となるので極座標で考えた方が計算しやすいのです。例えば,惑星の軌道が二次曲線を描くことの導出では極座標が活躍します。

というわけで,この記事では直交座標の運動方程式から極座標の運動方程式を導出します。微分のよい練習になります。

ベクトルの変換

まずは,$F_r$ と $F_{\theta}$ を,$F_x$ と $F_y$ で表します。

1A:$F_r=F_x\cos\theta+F_y\sin\theta$
1B:$F_{\theta}=-F_x\sin\theta+F_y\cos\theta$

証明

$r$ 方向の単位ベクトルを $\dfrac{\pi}{2}$ 反時計周りに回転させると $\theta$ 方向の単位ベクトルになる。

座標変換

よって,
$F_x=F_r\cos\theta+F_{\theta}\cos(\theta+\frac{\pi}{2})\\
=F_r\cos\theta-F_{\theta}\sin\theta$
$F_y=F_r\sin\theta+F_{\theta}\sin(\theta+\frac{\pi}{2})\\
=F_r\sin\theta+F_{\theta}\cos\theta$
これを $F_r,F_\theta$ について解くと上記の公式を得る。

微分の変換

次は,直交座標の運動方程式の左辺 $\ddot{x},\ddot{y}$ を $r,\theta$ を用いて表現します。

2A:$\ddot{x}=\ddot{r}\cos\theta-2\dot{r}\dot{\theta}\sin\theta-r\ddot{\theta}\sin\theta-r\dot{\theta}^2\cos\theta$
2B:$\ddot{y}=\ddot{r}\sin\theta+2\dot{r}\dot{\theta}\cos\theta+r\ddot{\theta}\cos\theta-r\dot{\theta}^2\sin\theta$

証明

一つ目の式のみ証明する。二つ目もほぼ同様。
$x=r\cos\theta$ の両辺を $t$ で微分すると,
$\dot{x}=\dot{r}\cos\theta-r\dot{\theta}\sin\theta$
ただし,$r,\theta$ はともに $t$ の関数であることに注意して,積の微分公式と合成関数の微分公式を用いた。

もう一度微分すると,
$\ddot{x}=\ddot{r}\cos\theta-\dot{r}\dot{\theta}\sin\theta-\dot{r}\dot{\theta}\sin\theta-r\ddot{\theta}\sin\theta-r\dot{\theta}^2\cos\theta$
となり,整理すると目標の式となる。

極座標の運動方程式の導出

準備は整いました。ここからバサバサ打ち消す楽しい時間です。

(極座標の運動方程式の導出)
(2A) $\times\cos\theta+$(2B) $\times\sin\theta$ より,
$\ddot{x}\cos\theta+\ddot{y}\sin\theta=\ddot{r}-r\dot{\theta}^2$
(真ん中の二つは消える!)

両辺に $m$ をかけて,直交座標の運動方程式を用いると,
$F_x\cos\theta+F_y\sin\theta=m(\ddot{r}-r\dot{\theta}^2)$
これと(1A)より $m(\ddot{r}-r\dot{\theta}^2)=F_r$

$\theta$ 方向についても同様。
(2A) $\times (-\sin\theta)+$(2B) $\times\cos\theta$ より,
$-\ddot{x}\sin\theta+\ddot{y}\cos\theta=2\dot{r}\dot{\theta}+r\ddot{\theta}$
(端の二つは消える!)
これと直交座標の運動方程式および(1B)より $F_{\theta}=m(2\dot{r}\dot{\theta}+r\ddot{\theta})$

これでもよいが,($r^2\dot{\theta}$ の時間微分は $2r\dot{r}\dot{\theta}+r^2\ddot{\theta}$ となることを用いて)さらに少し変形すると,
$m\dfrac{1}{r}\dfrac{d}{dt}(r^2\dot{\theta})=F_{\theta}$
を得る。

極座標の運動方程式を使えば地球の公転軌道が楕円であることを証明できます!→地球の公転軌道が楕円であることの導出

最後消える部分がたまりませんね。長い(そんなに長くないけど)努力が報われます。
分野: 物理  レベル: 大学数学