2015/11/23

有理数と無理数の稠密性


任意の実数 $a,b\:(a<b)$ に対して,
$a< q< b$ を満たす有理数 $q$ が存在する(有理数の稠密性)。
$a< x< b$ を満たす無理数 $x$ が存在する(無理数の稠密性)。

稠密性

「稠密」の読みは「ちゅうみつ」です。「どれだけ狭い幅の区間を取ってきてもその間に要素が存在する」「ギッシリ詰まっている」ということです。

この記事では有理数の稠密性と無理数の稠密性を証明します。

有理数の稠密性の証明

高校数学では見慣れない証明ですが,難しくありません。

証明

$\dfrac{1}{b-a}< N$ を満たすような十分大きい整数 $N$ を取ってくる。

ここで,$\dfrac{n}{N}\:$($n$ は整数)と表すことができる数について考える。このような数は有理数であり,幅 $\dfrac{1}{N}(< b-a)$ ごとに等間隔で存在する。よって,このような数の中に $a$ より大きく $b$ より小さいものが必ず存在する。

無理数の稠密性の証明

有理数よりも無理数の方がたくさんありそうですよね。有理数全体が稠密集合なのだから無理数全体も稠密集合なはずです。

証明1

$\sqrt{2}$ は無理数(→ルート2が無理数であることの4通りの証明)なので,$\sqrt{2}$ +有理数,という形で表せる数は無理数。

また,有理数の稠密性と同様に(有理数を $\sqrt{2}$ 平行移動しただけなので)$\sqrt{2}$ +有理数,という形で表せる数全体の集合は稠密集合である。

無理数全体の集合の部分集合が稠密性を持つので無理数全体も稠密集合である。

証明2

$\sqrt{2}$ ×有理数,という形で表せる数全体の集合を考えても証明1とほぼ同様に証明できる(ただし $0$ 付近について注意が必要)。

証明3

無理数 $x_0$ を1つ取ってくる。
$m+\{nx_0\}$($m$ は整数,$n$ は正の整数,$\{X\}$ は $X$ の小数部分)という形で表せる数は無理数であり,
このような数全体の集合はクロネッカーの稠密定理より稠密集合である。

無理数全体の集合の部分集合が稠密性を持つので無理数全体も稠密集合である。

ちなみに,集合の濃度という観点から,無理数の方が有理数よりも「たくさんある」と言えます。

稠密性と完備性

稠密であることと「穴がない」ことは異なります。例えば,有理数全体の集合は稠密集合ですが,$\sqrt{2}$ という「穴」があります(無理数は全て穴なので穴だらけです)。

なお「穴がない」ことを表す用語は「完備性」です。実数全体の集合は完備です(ギッシリ詰まっており,穴がない)。

「ちょうみつ」という読み方も一応あるみたいです(あまり自信はありません)。