等面四面体とその性質

等面四面体

全ての面が合同な四面体の問題は直方体への埋め込みを考えればほぼ確実に解ける。

等面四面体とは

全ての面が合同な四面体のことを,等面四面体または等積四面体と言います。例えば,正四面体は等面四面体の一種です。

等面四面体に関する問題は,東大,京大,東工大などで出題されており頻出です。

等面四面体の同値な定義(性質)はたくさんあります。

等面四面体の同値な定義
  • 四面体 ABCDABCD の全ての面が合同
  • AB=CD,AC=BD,AD=BCAB=CD,AC=BD,AD=BC(対辺の長さがそれぞれ等しい)
  • 直方体の4つの頂点から構成される(詳細は後述)
  • 四面体の4つの面の面積が全て等しい(等積四面体とも呼ばれる理由)

等面四面体の直方体への埋め込み

等積四面体の直方体への埋め込み

等面四面体は「直方体の8つの頂点のうち互いに隣り合わない4つの頂点を結んでできた四面体」と特徴付けできます。

以下では具体的に AB=CD=p,AC=BD=q,AD=BC=rAB=CD=p,AC=BD=q,AD=BC=r の等面四面体について直方体への埋め込みを考えます。

直方体の一辺の長さをそれぞれ x,y,zx,y,z とおくと,三平方の定理より,

x2+y2=p2y2+z2=q2z2+x2=r2x^2+y^2=p^2\\ y^2+z^2=q^2\\ z^2+x^2=r^2

これを x,y,zx,y,z について解くと,

x=p2q2+r22y=p2+q2r22z=p2+q2+r22x=\sqrt{\dfrac{p^2-q^2+r^2}{2}}\\ y=\sqrt{\dfrac{p^2+q^2-r^2}{2}}\\ z=\sqrt{\dfrac{-p^2+q^2+r^2}{2}}

直方体への埋め込みを考えることで等面四面体に関する問題はほぼ全て解けます。

以下では頻出の性質として,等面四面体の体積,内接球の半径,外接球の半径を求めてみます。

等面四面体の体積

等積四面体の直方体への埋め込み

等面四面体は直方体から四面体を4つ切り落としたものとみなせる。

直方体の体積は xyzxyz

また,切り落とした四面体の体積は,

12xyz13=16xyz\dfrac{1}{2}xy\cdot z\cdot\dfrac{1}{3}=\dfrac{1}{6}xyz

なので等面四面体の体積は,

xyz46xyz=13xyzxyz-\dfrac{4}{6}xyz=\dfrac{1}{3}xyz

これに上記で求めた x,y,zx,y,z の値を代入すれば体積が求まる:

72V2=(p2+q2+r2)(p2q2+r2)(p2+q2r2)72V^2=(-p^2+q^2+r^2)(p^2-q^2+r^2)(p^2+q^2-r^2)

実際に x,y,zx,y,z を代入した形(最後の式)は覚える必要はありません。

等面四面体の問題が出たら,直方体への埋め込みを考えて一辺の長さ x,y,zx,y,z を求めて,それをもとに体積など必要な値を求めていくという流れを覚えておきましょう。

内接球と外接球の半径

内接球の半径

内接球の半径を求める公式より体積 VV と表面積 SS が分かれば内接球の半径 rrV=13rSV=\dfrac{1}{3}rS によって求まります。

体積はさきほど求めました。表面積は1つの面の面積をヘロンの公式で求めて4倍すればよいだけです。

外接球の半径

埋め込んだ直方体の中心 OO (対角線の中点)から四面体の各頂点への距離は等しい,つまり OA=OB=OC=ODOA=OB=OC=OD なので OO が外接球の中心(外心)になります。

よって外接球の半径 RR は,

R=12x2+y2+z2=p2+q2+r28R=\dfrac{1}{2}\sqrt{x^2+y^2+z^2}=\sqrt{\dfrac{p^2+q^2+r^2}{8}}

と求めることができます。

なお,「対辺の長さが等しい」のが等面四面体でしたが,「対辺が直交」なのが直辺四面体です。→直辺四面体(垂心四面体)と24点球の定理

→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT2では,等面四面体に関する計算問題と,計算ミスを減らすコツを紹介しています。

内接球の半径はあまりきれいな式になりませんが外接球の半径は綺麗な式になりました。

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