2014/10/17

等角共役点とその証明

分野: 平面図形  レベル: 数学オリンピック

等角共役点について

等角共役点:三角形 $ABC$ と点 $P$ がある。
角の頂点を通る直線 $l$ と角の二等分線に関して対称な直線 $m$ を $l$ の等角共役線という。
$AP,\:BP,\:CP$ の等角共役線は一点で交わり,これを $P$ の等角共役点という。

平面図形の非常に美しい定理です。

等角共役点について

  • 三本の等角共役線が一点で交わることはチェバの定理の逆を用いてエレガントに証明できます(後述)。
  • 定義より,等角共役点の等角共役点はもとの点と一致します。この事実が「共役」という名前の由来です。
  • 三角形の内心の等角共役点は内心です。傍心の等角共役点は傍心です。これらは自明であまり面白くない例です。
  • 三角形 $ABC$ の垂心を $H$,外心を $O$ とすると $\angle CAH=90^{\circ}-\angle C=\angle OAB$ などとなるので,垂心と外心は等角共役点です。
  • 重心の等角共役点を類似重心またはルモアーヌ点といいます。

等角共役点の証明

証明にはチェバの定理とその逆を用います。→チェバの定理の3通りの証明

簡単化のために,三本の等角共役線が三角形と貫通する,すなわち対辺と交わる場合を考えます(等角共役線が三角形を貫通しない場合もチェバの定理の一般化を用いれば全く同様にして証明できます)。

等角共役点の存在証明

証明

$\angle PAB=\alpha,\:\angle PBC=\beta,\:\angle PCA=\gamma$ とおく。また,三角形 $ABC$ の面積を $|ABC|$ などとおく。
$AP$ と $BC$ の交点を $D$ とおくと,$\dfrac{BD}{DC}=\dfrac{|ABD|}{|ACD|}\\=\dfrac{AB\sin\alpha}{AC\sin(A-\alpha)}$
などが分かるので,チェバの定理より,
$\dfrac{AB\sin\alpha}{AC\sin(A-\alpha)}\dfrac{BC\sin\beta}{BA\sin(B-\beta)}\dfrac{CA\sin\gamma}{CB\sin(C-\gamma)}=1$
よって,
$\dfrac{\sin\alpha}{\sin(A-\alpha)}\dfrac{\sin\beta}{\sin(B-\beta)}\dfrac{\sin\gamma}{\sin(C-\gamma)}=1$ $\cdots(※)$ を得る。

目標は三本の等角共役線が一点で交わることだが,これは上記と同様に考えると,チェバの定理の逆より以下を示せばよい:
$\dfrac{AB\sin(A-\alpha)}{AC\sin\alpha}\dfrac{BC\sin(B-\beta)}{BA\sin\beta}\dfrac{CA\sin(C-\gamma)}{CB\sin\gamma}=1$
これは,$(※)$ より成立する。

等角共役点の発展的な定理

等角共役点にまつわるこれまた美しい定理です!

等角共役点の性質

三角形 $ABC$ と,互いに等角共役な $P,\:Q$ がある。このとき点 $P$ と $Q$ から三角形の各辺に下ろした垂線の足は合計六個あるが,全て同一円周上にある。また,円の中心は線分 $PQ$ の中点である。

外心を $O$,垂心を $H$ とおくとこれらは互いに等角共役であり,この円は九点円と一致します!→九点円の定理の証明と諸性質
つまり,この定理は九点円の一般化になっています。

証明は少し大変です,練習問題にどうぞ!

チェバの逆を使った共点の証明は対称性が高くてきれいです。
分野: 平面図形  レベル: 数学オリンピック