数学の定理No.1決定戦

数学の定理の中で,いろいろな意味で強いものをピックアップしました。

1.有名な定理

ピタゴラスの定理

A=90\angle A=90^{\circ} なる直角三角形 ABCABC について AB2+AC2=BC2AB^2+AC^2=BC^2

誰もが知っている有名な定理だと思います。→三平方の定理の4通りの美しい証明

2.役立つ定理

1/6公式

放物線 y=ax2+bx+cy=ax^2+bx+c と直線 y=px+qy=px+q の交点の xx 座標を α,β(α<β)\alpha, \beta\:(\alpha < \beta) とおくとき,放物線と直線で囲まれた部分の面積は,

a6(βα)3\dfrac{|a|}{6}(\beta-\alpha)^3

→放物線と直線で囲まれた面積を高速で求める1/6公式。高校数学で役立つという意味です。実生活で役立つという意味ではありません。

3.美しい定理

バーゼル問題

112+122+132+142+=π26\dfrac{1}{1^2}+\dfrac{1}{2^2}+\dfrac{1}{3^2}+\dfrac{1}{4^2}+\cdots =\dfrac{\pi^2}{6}

→バーゼル問題の初等的な証明。高校数学の範囲で証明できます!

フランク・モーリーの定理もいい勝負です。

4.シンプルな定理

オイラーの公式

eπi+1=0e^{\pi i}+1=0

博士の愛した数式にも登場した等式です。 e,π,ie,\pi,i が全て登場するのが面白いです。

5.楽しい定理

23人いれば,その中に同じ誕生日である二人組が50%以上で存在する。

→同じ誕生日の二人組がいる確率について

結果自体も楽しいですし,会話のネタにもなって楽しいです。

6.名前が面白い定理

カラテオドリの定理

AARn\mathbb{R}^n の部分集合 SS の凸包に含まれているとき,SS から n+1n+1 個の点をうまく選んでくれば,その n+1n+1 個の点の凸包に AA が含まれるようにできる。

→凸包に関するカラテオドリの定理とその証明

定理の内容はやや難しいですが,定理名は非常に印象的です。

他にも,パンケーキの定理,ハムサンドイッチの定理,美術館定理などもあります。教えてくださった読者の方ありがとうございました。

7.面白い定理

Japanese Theorem

円に内接する多角形を三角形分割して,その三角形たちの内接円の半径の和 RR を計算する。 RR は三角形分割の方法によらない。

名前が面白いですし,内容も面白いです。 →英語版WIkipedia

他にも変形折り鶴の定理などもあります。

8.名前が長い定理

Sherman–Morrison–Woodburyの公式

行列 A,B,C,DA,B,C,D に対して

(A+BDC)1=A1A1B(D1+CA1B)1CA1(A+BDC)^{-1}=A^{-1}-A^{-1}B(D^{-1}+CA^{-1}B)^{-1}CA^{-1}

(ただし,行列の積が定義できるような適切なサイズ,および AA などの逆行列の存在を仮定)

→逆行列の補助定理(Woodburyの恒等式)。定理名を口ずさみたいですね。

Baker-Campbell-Hausdorffの公式(行列の指数関数に関する公式)もかなり強いです。

9.悲しい定理

絶望の定理

ある安定マッチングに入れない人はどんな安定マッチングにも入れない。

安定マッチングについては→安定マッチングとGale-Shapleyアルゴリズム。リンク先は男性と女性の人数が等しい場合を考えていますが,男性と女性の人数が等しくない場合に絶望の定理が発動します。意訳すると,結婚できないのは運のせいじゃなくて本人のせいということです。

9は圧倒的に自信がありますが,あとは異論あるかと思います。