2015/08/04

定数分離の考え方と例題3問

分野: 方程式,恒等式  レベル: 入試対策

定数分離:
$f(x,a)=0$ を $g(x)=a$ という形に変形すると見通しがよくなることがある。

入試数学の基本的なテクニック「定数分離」について,例題を通じて解説します。

定数分離

文字定数 $a$ を含む $x$ についての方程式 $f(x,a)=0$ を考えます。 $a$ の値によって方程式の解は変化します。

このとき,方程式を $g(x)=a$(右辺は $a$ でなくても $2a,e^a$ など $a$ の簡単な関数ならよい)という式に変形できれば $y=g(x)$ のグラフと $y=a$ のグラフの交点を見ることで解の様子が分かります。

二次関数,解の条件

例題1

$x$ についての二次方程式 $x^2-2x-a=0$ が$-1$ 以上の異なる実数解を二つ持つための $a$ の条件を求めよ。

二次関数と定数分離

解答

$x^2-2x-a=0\\\iff x^2-2x=a$
より,$y=x^2-2x$ と $y=a$ のグラフが $x\geq -1$ なる範囲で二つの交点を持つ条件を求めればよい。
図より,求める $a$ の範囲は$-1 <a \leq 3$


別解(定数分離を用いない方法):二次方程式の解は解の公式より $x=1\pm\sqrt{1+a}$ よって,求める条件は $1+a > 0$ かつ $1-\sqrt{1+a} > -1$
これを解くと$-1 <a\leq 3$

三次関数,解の個数

一般に三次方程式を解くのは非常に大変(→カルダノの公式と例題)なので例題1の別解のような方法は通用しません。

例題2

$x$ についての三次方程式 $x^3-3x+a=0$ の異なる実数解の個数を求めよ。

解答

$x^3-3x+a=0\iff -x^3+3x=a$
より,$y=-x^3+3x$ と $y=a$ のグラフの交点の数を求めればよい。

三次方程式の解の個数

$y=-x^3+3x$ のグラフは,$y’=-3x^2+3\\=-3(x+1)(x-1)$
であることに注意すると図のようになる($x=-1$ で極小値$-2$,$x=1$ で極大値 $2$ を取る)。

よって,異なる実数解の個数は,
$-2 <a <2$ のとき三個
$a=\pm 2$ のとき二個
$a <-2,2 <a$ のとき一個

不等式でも定数分離

定数分離の考え方が使えるのは方程式だけではありません。

例題3

$0$ 以上の任意の実数 $x$ に対して不等式 $ax^3-x+a\geq 0$ が成立するような $a$ の範囲を求めよ。

解答

($x\geq 0$ という条件のもと)与えられた不等式を変形すると,
$a(x^3+1)\geq x$
$a\geq \dfrac{x}{x^3+1}\cdots$ (*)
よって,$x\geq 0$ の範囲で $f(x)=\dfrac{x}{x^3+1}$ の最大値を求めればよい。
$f'(x)=\dfrac{-2x^3+1}{(x^3+1)^2}$ に注意すると,$x=\dfrac{1}{\sqrt[3]{2}}$ のとき最大値 $\dfrac{2}{3\sqrt[3]{2}}$ を取ることが分かる。
よって,答えは,$a\geq \dfrac{2}{3\sqrt[3]{2}}$


別解(逆数を取ると計算がやや楽になる):
$x=0$ をもとの不等式に代入すると $a\geq 0$ が必要であることが分かる。
$x > 0$ での条件は(*)の逆数を取ると
$\dfrac{1}{a}\leq x^2+\dfrac{1}{x}$

この右辺について相加相乗平均の不等式より,$x^2+\dfrac{1}{2x}+\dfrac{1}{2x}\geq 3\sqrt[3]{\dfrac{1}{4}}$
であり,実際 $x=\dfrac{1}{\sqrt[3]{2}}$ で等号成立。

つまり,求める条件は $a\geq 0$ かつ $\dfrac{1}{a}\leq 3\sqrt[3]{\dfrac{1}{4}}$ となり上記の解答と同じ答えを得る。

注:途中で相加相乗平均の不等式の応用〜関数の最小値を求める〜に載っている考え方を使っています。

例題3は我ながら気に入っています。
分野: 方程式,恒等式  レベル: 入試対策