2016/11/06

tanxの高階微分とマクローリン展開

分野: 極限,微分  レベル: マニアック

$\tan x$ のマクローリン展開($x=0$ におけるテイラー展開)は
$\tan x=x+\dfrac{1}{3}x^3+\dfrac{2}{15}x^5+\dfrac{17}{315}x^7+\cdots$

$\tan x$ の $n$ 階微分を $n=5$ くらいまで計算してみましょう。いくつか面白い性質が発見できます。

tanxの高階微分

微分

$(\tan x)’=\dfrac{1}{\cos^2x}\\
=1+\tan^2x$
→tanxと1/tanxの微分公式のいろいろな証明
$x=0$ における微分係数は $1$

二階微分

合成関数の微分公式を使うと,
$2\tan x(\tan x)’\\
=2\tan x\cdot \dfrac{1}{\cos^2x}\\
=2\tan x(1+\tan^2x)\\
=2\tan x+2\tan^3x$
$x=0$ における二階微分の値は $0$
このように,$\dfrac{1}{\cos^2x}=1+\tan^2x$ を用いて分数を除去すると計算が楽です。

三階微分

$2\dfrac{1}{\cos^2x}+2\cdot 3\tan^2x\dfrac{1}{\cos^2x}\\
=2(1+\tan^2x)+6\tan^2x(1+\tan^2x)\\
=2+8\tan^2x+6\tan^4x$
このように,$\tan x$ の奇数階導関数は $\tan x$ の偶数次の項のみからなる式で表せます。
$x=0$ における三階微分の値は $2$

四階微分

$16\tan x(1+\tan^2x)+24\tan^3x(1+\tan^2x)\\
=16\tan x+40\tan^3x+24\tan^5x$
このように,$\tan x$ の偶数階導関数は $\tan x$ の奇数次の項のみからなる式で表せます。
$x=0$ における四階微分の値は $0$

五階微分

$16(1+\tan^2x)+120\tan^2x(1+\tan^2x)\\
+120\tan^4x(1+\tan^2x)\\
=16+136\tan^2x+240\tan^4x+120\tan^6x$
$x=0$ における五階微分の値は $16$

以上の結果から,$\tan x$ を $x=0$ で五次まで展開すると
$\dfrac{1}{1}x+\dfrac{2}{3!}x^3+\dfrac{16}{5!}x^5\\
=x+\dfrac{1}{3}x^3+\dfrac{2}{15}x^5$
となることが分かります。

実は,各導関数について隣り合う係数を交互に足し引きしていくと $0$ になることが分かります。五階微分の場合だと $16-136+240-120=0$ という感じです。

ベルヌーイ数を用いた表現

$\tan x$ のマクローリン展開は,$\sin x$ や $\cos x$ ほどきれいに書くことはできません。

ベルヌーイ数 $B_{n}$ というものを用いて
$\tan x=\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{(-1)^{n-1}2^{2n}(2^{2n}-1)B_{2n}}{(2n)!}x^{2n-1}$
と書けることが知られています。

(ベルヌーイ数はべき乗和の公式でも登場しました。ここでは詳しくは述べませんが,いつかもう少し詳しい記事を書けたらと思っています。)

三次の係数が $\frac{1}{3}$ であることくらいは覚えておくと役立つかもしれません。
分野: 極限,微分  レベル: マニアック