2015/11/03

多項定理の例題と2通りの証明

分野: 場合の数  レベル: 入試対策

多項定理:
$(x_1+x_2+\cdots +x_k)^n$ を展開したときの $x_1^{e_1}x_2^{e_2}\cdots x_k^{e_k}$ の係数は
$e_1+e_2+\cdots +e_k=n$ かつ各 $e_i$ が非負なら $\dfrac{n!}{e_1!e_2!\cdots e_k!}$
(そうでないなら $0$)

多項定理は二項定理の拡張です($k=2$ のときは二項定理)。前半は具体例,後半は証明です。

多項定理の基本的な例

$(a+b+c)^6$ を展開したときの $a^3b^2c$ の係数は,$\dfrac{6!}{3!2!1!}=60$

$(a+b+c)^6$ を展開したときの $a^4b^2$ の係数は,$\dfrac{6!}{4!2!0!}=15$
($0!=1$ に注意)

応用問題

例題1

$(2x+3y+z+w)^4$ を展開したときの $x^2yz$ の係数を求めよ。

解答

$x^2yz$ の項は,$2x$ を $2$ つ,$3y$ を $1$ つ,$z$ を $1$ つ選んだときに登場する項からのみ出てくる。その項は,
$\dfrac{4!}{2!1!1!0!}(2x)^2(3y)z=144x^2yz$
という項である。つまり,係数は $144$

例題2

$(x^2+3x+2)^5$ を展開したときの $x^8$ の係数を求めよ。

解答

$x^8$ の項は「 $x^2$ と $4$ つ,$2$ を $1$ つ」または「 $x^2$ を $3$ つ,$3x$ を $2$ つ」選んだときに登場する項から出てくる。前者は $\dfrac{5!}{4!0!1!}(x^2)^4\cdot 2=10x^8$ であり,後者は $\dfrac{5!}{3!2!0!}(x^2)^3(3x)^2=90x^8$ である。
よって,答えは $100$

多項定理の証明1

組合せの議論を使います。よく分からない方は二項定理の意味と2通りの証明の証明1から読んで下さい。

証明

$(x_1+x_2+\cdots +x_k)^n$ を展開したときに出てくる1つの項は,
「 $x_1$ から $x_k$ の中でどれか $1$ つを選ぶ」という操作を $n$ 回行い,選んだものを全てかけあわせたもの。このようにして出てくる項を全て($k^n$ 個)足し合わせると展開式が得られる。

よって,展開後は $x_1$ から $x_k$ の指数の和が $n$ である項のみが登場し,その係数は $\dfrac{n!}{e_1!\cdots e_k!}$ である($n$ 回のうちどの $e_1$ 回で $x_1$ を選び,どの $e_2$ 回で $x_2$ を選び,$\cdots$,どの $e_k$ 回で $x_k$ を選ぶかのパターンの数,これは同じものを含む順列の公式から分かる)。

多項定理の証明2

二項定理+数学的帰納法でも証明できます。

証明

$k$ に関する帰納法で証明する。 $k=1$ のときは自明,$k=2$ のときは二項定理そのもの。

$k$ まで正しいと仮定すると,二項定理より,
$(x_1+\cdots +x_k+x_{k+1})^n\\
=\{(x_1+\cdots +x_{k})+x_{k+1}\}^n\\
=\displaystyle\sum_{t=0}^n{}_n\mathrm{C}_t(x_1+\cdots +x_{k})^tx_{k+1}^{n-t}$

目標の項は $t=n-e_{k+1}$ の部分から出てくる。 $t=n-e_{k+1}$ の部分は,
${}_n\mathrm{C}_{n-e_{k+1}}(x_1+\cdots +x_k)^{n-e_{k+1}}x_{k+1}^{e_{k+1}}\\
=\dfrac{n!}{(n-e_{k+1}!)e_{k+1}!}(x_1+\cdots +x_k)^{n-e_{k+1}}x_{k+1}^{e_{k+1}}$

よって,帰納法の仮定より,$x_1^{e_1}\cdots x_{k+1}^{e_{k+1}}$ の項の係数は,
$\dfrac{n!}{(n-e_{k+1})!e_{k+1}!}\cdot \dfrac{(n-e_{k+1})!}{e_1!\cdots e_k!}\\
=\dfrac{n!}{e_1!\cdots e_{k+1}!}$

多項定理は教科書には登場しませんが,$k=3$ の場合については軽く言及されています。

Tag:数学2の教科書に載っている公式の解説一覧

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