2015/04/30

斜方投射の公式の導出と飛距離を伸ばす方法

分野: 物理  レベル: 基本公式

空気抵抗を考慮しない斜方投射において,一番遠くまで飛ばすには45度の角度で投げればよい。

斜方投射についての公式(軌跡,到達地点など),および45度が最適である理由を解説。さらに,斜方投射で飛距離を伸ばす方法を考察。

斜方投射の考え方

まずは $x$ 方向と $y$ 方向に分解して考えます。時刻 $t$ における位置$(x,y)$ を求めるのが目標です。

斜方投射

・ $x$ 方向には力が加わらず,等速運動をするので,
$v_x=v_0\cos\theta$
$x=(v_0\cos\theta)t$

・ $y$ 方向には重力$-mg$ が加わり,等加速度運動をするので
$v_y=v_0\sin\theta-gt$
$y=(v_0\sin\theta)t-\dfrac{g}{2}t^2$

物理的な考え方はここまでです。ここからは数学です。

斜方投射の軌跡の導出

斜方投射の軌跡は放物線となる。

証明

$x$ と $y$ の式から $t$ を消去すると,
$y=(v_0\sin\theta)\dfrac{x}{v_0\cos\theta}-\dfrac{g}{2}\dfrac{x^2}{(v_0\cos\theta)^2}$

整理すると, $y=(\tan\theta)x-\dfrac{g}{2v_0^2\cos^2\theta}x^2$

このように軌跡は $y=Ax^2+Bx$ という形の放物線で表すことができました(そもそも「放物線」と呼ばれるのは物を投げたときにあらわれる曲線だから!)

斜方投射の落下点

飛距離を出すには45度で投げるべし。

数学2で習う倍角の公式:$\sin 2\theta=2\sin\theta\cos\theta$ が登場します!

証明

放物線の式において $y=0$ を代入すると,$x(\tan\theta-\dfrac{gx}{2v_0^2\cos^2\theta})=0$

これを解くと,$x=0$,$\dfrac{2v_0^2\sin\theta\cos\theta}{g}$

よって,落下点(到達地点)の $x$ 座標は $\dfrac{2v_0^2\sin\theta\cos\theta}{g}=\dfrac{v_0^2\sin 2\theta}{g}$

$v_0$ を固定して $\theta$ の関数と見ると,$\theta=45^{\circ}$ のときに最も遠くまで飛ぶことが分かる。そのときの飛距離は $\dfrac{v_0^2}{g}$

遠くに投げるには

遠くに投げたい,飛ばしたいという欲求は自然です(ホームラン打ちたい,体力テストのソフトボール投げでよい点数を取りたい,砲丸投げで金メダルを獲りたいなど)。そこで,遠くへ飛ばす方法について考えてみました。

・45度のとき一番遠くに飛ぶというのは直感的にもそれなりに正しそう
$\theta$ が小さすぎるとすぐに落下してしまい(ライナー),$\theta$ が大きすぎると滞空時間は長いですが飛距離は伸びません(内野フライ)。ホームランを打つには45度に近い角度が必要です。

・45度という条件はそんなにシビアではない
例えば,少しミスって40度で投げてしまった場合,$\sin 2\theta=0.9848\cdots$ となります。つまり飛距離が98.5%程度になります。1.5%しか減らない!50度でも同様。
もっとミスって35度とか55度になってしまっても93%程度。

・そんなことより $v_0$ を上げる努力を
一方で,飛距離は $v_0^2$ に比例するので $v_0$ を1.1倍にできれば飛距離は1.21倍になります。

・助走をつけるのも有効
助走をつけて投げると飛距離が出ます。例えば時速20kmで猛ダッシュしながら時速80kmの初速で投げた場合,助走なしの場合よりも35%くらい飛距離がアップします(最適な角度は45度よりもやや高くなります)。ちなみに時速20km=50メートル走9秒くらいです。猛ダッシュしながらいつもどおりの初速 $v_0$ を出すのは至難の技です。

ちょくちょく物理の記事も書いていきたいです。
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