2015/06/07

sup(上限)とinfの意味,maxとの違い

分野: 解析  レベル: 大学数学

要素が実数である集合 $A$ に対して
$\max A$:$A$ の最大値,maximum(英語),マックス(読み方の例)
$\min A$:$A$ の最小値,minimum,ミン
$\sup A$:$A$ の上限,supremum,スープ
$\inf A$:$A$ の下限,infimum,インフ

大学の解析のしょっぱなで学ぶ $\sup$ の意味について解説します。

$\min$ は $\max$ の反対側,$\inf$ は $\sup$ の反対側なので,ここでは $\max,\sup$ についてのみ解説します。

maxとsupの定義

まずは集合の最大値 $\max$ の定義です。

$\max A=c\iff$
・任意の $x\in A$ に対して $x\leq c$ かつ
 ($c$ はどの要素よりも小さくはない→ $c$ は $A$ の上界)
・ $c\in A$


次に集合の上限 $\sup$ の定義です。

$\sup A=c\iff$
・任意の $x\in A$ に対して $x\leq c$ かつ
 ($c$ は $A$ の上界)
・ $c$ より小さい任意の実数 $r$ に対して,$r <x$ なる $x\in A$ が存在する
 (少しでも小さくすると上界でなくなる)

日本語で言うと「上界の最小値」です。

具体例

例1

閉集合 $A=[a,b]$ に対して,$\max A=b$,$\sup A=b$

$A$ の最大値も上限も $b$ です。


supとinfの具体例

例2

開集合 $A=(a,b)$ に対して,$\max A$ は存在しない,$\sup A=b$

最大値は存在しませんが,上限は存在します。

$\max$ と $\sup$ の定義に照らし合わせて確認してみてください!

supはmaxの一般化

ここからは $\sup$ の有用性をなんとなく実感してもらうために,$\sup$ の性質を2つ解説します。

$\sup$ の嬉しさ1:$\max A$ が存在するなら $\sup A=\max A$

$\sup$ は $\max$ を拡張した概念になっているというわけです!
ほぼ自明ですが一応証明しておきます。

証明

$\max A=c$ のとき,$\max$ の定義より,
1.任意の $x\in A$ に対して $x\leq c$
2. $c\in A$

$\sup A=c$ を証明したいのだが,$\sup A=c$ の条件の一つめは1そのものであり成立。二つ目は $x=c$ とすれば,2より成立。

supは常に存在する

$\sup$ の嬉しさ2:$A$ が上に有界なら $\sup A$ は常に存在する。

$\max$ は存在するとは限りませんが,$\sup$ は常に存在するので,統一的に議論することができます。 $\sup$ の存在証明は解析学の教科書を参照して下さい(例えば高木貞治の解析概論)。

とくべつなsupをあ〜なた〜にあ〜げる〜〜
分野: 解析  レベル: 大学数学