2014/05/27

位相が等差数列である三角関数の和の公式

分野: 三角比・三角関数  レベル: 最難関大学

(位相が等差数列なら)複素指数関数と等比数列の和の公式を用いて三角関数の和を計算することができる:
$\displaystyle\sum_{k=0}^n\sin(\theta+k\phi)=\dfrac{\sin(\frac{(n+1)\phi}{2})\sin(\theta+\frac{n\phi}{2})}{\sin\frac{\phi}{2}}$
$\displaystyle\sum_{k=0}^n\cos(\theta+k\phi)=\dfrac{\sin(\frac{(n+1)\phi}{2})\cos(\theta+\frac{n\phi}{2})}{\sin\frac{\phi}{2}}$

三角関数の和を求めるタイプの問題に対するかなり万能な方法です。

扱う問題

「位相が等差数列」となる三角関数の和の例:
$\cos\theta+\cos 3\theta+\cos 5\theta\\
\sin \dfrac{\pi}{5}+\sin \dfrac{2\pi}{5}+\sin \dfrac{3\pi}{5}+\sin\dfrac{4\pi}{5}$

三角関数の和を求める問題は入試や数オリでしばしば出題されます。チェビシェフ多項式や図形的な性質(多角形の重心)を用いて解くのが一般的ですが,複素指数関数とオイラーの公式を用いればほとんどの問題に機械的に対応できます。

方法の概略

複素数 $z=a+bi$ の実部 $a$ を $\mathrm{Re}(z)$,虚部 $b$ を $\mathrm{Im}(z)$ と表記します。

三角関数(コサイン)の和を求める一般的な方法
1:オイラーの公式より
$\cos\theta=\mathrm{Re}(e^{i\theta})$ と表すことができる
2:位相が等差数列なら複素指数関数では等比数列になり和を求めることができる(複素指数関数の指数法則を利用している)
3:頑張って実部を求める

ちなみに,サインの和を求める場合は虚部を用います。
($\sin\theta=\mathrm{Im}(e^{i\theta})$ と表すことができる)

一般的な方法論では分かりにくいと思うので具体例で解説します。

具体例

チェビシェフ多項式でも紹介した問題です。

問題

$\cos\dfrac{\pi}{7}+\cos\dfrac{3\pi}{7}+\cos\dfrac{5\pi}{7}$ を求めよ。

方針:チェビシェフ多項式を思いつくのは少し発想力が必要になりますが,複素指数関数を用いると機械的な計算で値が求まります!初項 $e^{\tfrac{\pi i}{7}}$,公比 $e^{\tfrac{2\pi i}{7}}$,項数3の等比数列です。

解答

与式は複素指数関数を用いて以下のように計算できる。
$\mathrm{Re}(e^{\tfrac{\pi i}{7}}+e^{\tfrac{3\pi i}{7}}+e^{\tfrac{5\pi i}{7}})\\
=\mathrm{Re}(\dfrac{e^{\tfrac{\pi i}{7}}(1-e^{\tfrac{2\cdot 3\pi i}{7}})}{1-e^{\tfrac{2\pi i}{7}}})\\
=\mathrm{Re}(\dfrac{1+\cos\tfrac{\pi}{7}+i\sin\tfrac{\pi}{7}}{1-\cos\tfrac{2\pi}{7}-i\sin\tfrac{2\pi}{7}})$
ここで,$\dfrac{C+Di}{A+Bi}$ の実部は $\dfrac{AC+BD}{A^2+B^2}$ なので頑張って計算すると,求める値は,
$\dfrac{1-\cos\tfrac{2\pi}{7}}{2-2\cos\tfrac{2\pi}{7}}\\
=\dfrac{1}{2}$

複素数を考えることの嬉しさが遺憾なく発揮されています。

Tag: 数列の和を計算するための公式まとめ
Tag: 複素数の美しい性質と効果まとめ

分野: 三角比・三角関数  レベル: 最難関大学