相反方程式とその解き方

定期試験や入試で出題される3次以上の方程式は以下の3つのタイプに分けることができる。

  • タイプ1:そのまま因数分解して解く方程式

  • タイプ2:相反方程式

  • タイプ3:複二次式(複 nn 次式)

2次方程式はどんな場合も解の公式で解けますが,3次以上の方程式は一般的に解の公式を用いて解くことができません(3次方程式にはカルダノの公式というのが存在するが,複雑過ぎて現実的でない)。

そこで,入試問題では3次以上の方程式に関しては上記の「都合のいい3タイプ」しか出題されません。

特に,ほとんどの場合はタイプ1で,因数分解で解くことができます。しかし,まれに簡単に因数分解できない方程式が出題されることがあります。それが,相反方程式と複二次式です。このページでは相反方程式を扱います。

相反方程式とは

相反方程式とは,係数が左右対称な方程式のことを言います。

相反方程式の例
  • x2+5x+1=0x^2+5x+1=0
    係数が (1,5,1)(1,5,1) となっており左右対称です。

  • x4+x2+1=0x^4+x^2+1=0
    係数が (1,0,1,0,1)(1,0,1,0,1) となっており左右対称です。

00 も係数とみなすので,係数が (1,0,1,1,1)(1,0,1,1,1) となっている
x4+x2+x+1=0x^4+x^2+x+1=0
は相反方程式ではありません。

4次の相反方程式と5次の相反方程式が頻出(というかそれ以外ほぼ出ない)です。4次の場合と5次の場合で解き方が若干異なるのでそれぞれ説明します。

4次の相反方程式の解き方

最高次の係数で両辺を割ることで,解きたい方程式は以下の形に帰着されます:

x4+ax3+bx2+ax+1=0x^4+ax^3+bx^2+ax+1=0

x=0x=0 は解でないので 両辺を x2x^2 で割り,x+1x=tx+\dfrac{1}{x}=t と置きます:

x2+1x2+a(x+1x)+b=0x^2+\dfrac{1}{x^2}+a(x+\dfrac{1}{x})+b=0

(t22)+at+b=0(t^2-2)+at+b=0

これは2次方程式なので tt について解けます。

そして,x+1x=tx+\dfrac{1}{x}=txx についての2次方程式なので tt から xx の値も分かります。以上の議論を一般化しましょう。

偶数次の相反方程式の解き方

偶数次(2n2n 次)の相反方程式は x+1x=tx+\dfrac{1}{x}=t とおくことによって tt についての nn 次方程式に帰着できる。

ちなみに,上記の事実は xn+1xnx^n+\dfrac{1}{x^n}x+1xx+\dfrac{1}{x}nn 次式で表せる」という性質に基づいています。

5次の相反方程式の解き方

最高次の係数で両辺を割ることで,解きたい方程式は以下の形に帰着されます:

x5+ax4+bx3+bx2+ax+1=0x^5+ax^4+bx^3+bx^2+ax+1=0

左辺に x=1x=-1 を代入すると 00 になることが分かります。よって因数定理から左辺は (x+1)(x+1) で割り切れます!同様にして,一般的に 奇数次の相反方程式は必ず (x+1)(x+1) で割り切れることが分かります:

(x+1)(x4+(a1)x3+(ba+1)x2+(a1)x+1)=0(x+1)(x^4+(a-1)x^3+(b-a+1)x^2+(a-1)x+1)=0

さらに,左辺の2つ目の因数は係数が左右対称になっています。

すなわち,x4+(a1)x3+(ba+1)x2+(a1)x+1=0x^4+(a-1)x^3+(b-a+1)x^2+(a-1)x+1=0 は4次の相反方程式です。よって,さきほど紹介した方法を用いて解くことができます。以上の議論を一般化しましょう。

奇数次の相反方程式の解き方

奇数次(2n+12n+1 次)の相反方程式は (x+1)(x+1) で割り切れ,x+1x=tx+\dfrac{1}{x}=t とおくことによって tt についての nn 次方程式に帰着できる。

練習問題

例題1

x5+2x4+3x3+3x2+2x+1=0x^5+2x^4+3x^3+3x^2+2x+1=0

を解け。

解答

奇数次の相反方程式なので (x+1)(x+1) で割り切れる:

(x+1)(x4+x3+2x2+x+1)=0(x+1)(x^4+x^3+2x^2+x+1)=0

x=0x=0 は解でないので,2つめの因数から出てくる方程式を x2x^2 で割り,x+1x=tx+\dfrac{1}{x}=t とおく:

x2+1x2+x+1x+2=0t22+t+2=0t=0,1x^2+\dfrac{1}{x^2}+x+\dfrac{1}{x}+2=0\\ t^2-2+t+2=0\\ t=0, -1

t=0t=0 のとき,x+1x=0x+\dfrac{1}{x}=0 から x=±ix=\pm i

t=1t=-1 のとき,x2+x+1=0x^2+x+1=0 から x=1±3i2x=\dfrac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}

以上から,x=1,±i,1±3i2x=-1, \pm i, \dfrac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}

例題2

x5=1x^5=1 を解け。

解答

答えは,111±54±10±254i\dfrac{-1\pm\sqrt{5}}{4}\pm\dfrac{\sqrt{10\pm 2\sqrt{5}}}{4}i ただし,±\pm が3つあるが,1つめと3つめは同じ符号を選ぶ。あとは任意。

細かい計算は1のn乗根の性質と複素数平面の記事後半を参照。

→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT23では,相反方程式の問題と計算ミスをしないためのコツも紹介しています。

相反の読み方は「あいはん」ではなく「そうはん」です。

Tag:因数分解の発展的な公式・応用例まとめ

Tag:いろいろな方程式の解き方まとめ