2014/11/07

楕円の面積公式の3通りの導出

分野: 二次曲線  レベル: 基本公式

楕円の面積公式: $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1 \:(a, b > 0)$ で表される楕円の面積 $S$ は $S=\pi ab$

楕円の面積公式を3通りの方法で導出します。

楕円の面積公式について

・ $a=b$ の場合,曲線の方程式は $x^2+y^2=a^2$ となり,半径 $a$ の円を表します。よって,面積は $\pi \cdot a\cdot a$ となり楕円の面積公式は確かに正しいです。つまり,楕円の面積公式は円の面積公式を含んでいます。


・中心が原点でない楕円の面積も求めることができます。

楕円 $\dfrac{(x+10)^2}{9}+\dfrac{(y-1)^2}{16}=1$ の面積を求めよ。

解答

平行移動しても楕円の面積は変わらないので,$\dfrac{x^2}{3^2}+\dfrac{y^2}{4^2}=1$ の面積を求めればよい。
よって,楕円の面積公式より答えは $\pi \cdot 3\cdot 4=12\pi$


・今回解説する方法は以下の三つです。

1:グラフの拡大を用いる方法
2:愚直に定積分を計算する方法
3:ガウスグリーンの定理を使う方法

1は積分を知らなくても理解できる方法ですが,円の面積公式は認めてしまいます。残り二つは定積分を用いる方法です。どちらも積分を用いた求積のよい練習問題です。

グラフの拡大を用いた楕円の面積公式の導出

曲線 $\:f(x,Ay)=0$ は $\:f(x,y)=0$ を $y$ 軸方向に $\dfrac{1}{A}$ 倍に引き伸ばしたものであることを使います。→関数のグラフの拡大・縮小の証明と例

証明

楕円の式:$\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$ の両辺を $a^2$ 倍すると,
$x^2+(\dfrac{a}{b}y)^2=a^2$ となる。
これは,円:$x^2+y^2=a^2$ を $y$ 軸方向に $\dfrac{b}{a}$ 倍に拡大したものである。
図形を縦に $\dfrac{b}{a}$ 倍に拡大すると面積も $\dfrac{b}{a}$ 倍になるので,楕円の面積 $S$ は $\pi a^2\dfrac{b}{a}=\pi ab$ となる。

ちなみに,同様な議論により,題意の楕円は半径 $b$ の円を $x$ 軸方向に $\dfrac{a}{b}$ 倍に拡大したものと見ることもできます。楕円は「円を $x$ 軸方向,または $y$ 軸方向に拡大したもの」という認識は重要です。

定積分を用いた楕円の面積公式の導出

積分を知っていれば素直な方法です。重要な置換積分を用いて計算します。

楕円の面積

証明

楕円の方程式を $y$ について解くと,
$y=\pm b\sqrt{1-\dfrac{x^2}{a^2}}$ となる(楕円の上半分がプラスの符号,下半分はマイナスの符号に対応している)。
よって,楕円の面積 $S$ は青い部分の面積の $4$ 倍なので,
$S=\displaystyle 4\int_0^{a}b\sqrt{1-\dfrac{x^2}{a^2}}dx$

ここで,$x=a\cos\theta\: (0\leq \theta\leq \pi)$ と置換すると,
$\dfrac{dx}{d\theta}=-a\sin\theta$ であるので,
$S=4\int_{\frac{\pi}{2}}^0 b\sqrt{1-\cos^2\theta}(-a)\sin\theta d\theta\\
=4\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}ab\sin^2\theta d\theta\\
=4\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}ab\dfrac{1-\cos 2\theta}{2}d\theta\\
=\pi ab-[\sin 2\theta]_0^{\frac{\pi}{2}}\\
=\pi ab$

ガウスグリーンの定理を用いた楕円の面積公式の導出

発展的な内容です。楕円は $x=a\cos t,\:y=b\sin t$ と媒介変数表示されることを使います。媒介変数表示された曲線の面積を求めるのはガウスグリーンの定理が活躍します。→ガウスグリーンの定理の入試への応用

証明

上記のように楕円を媒介変数表示すると,$x’=-a\sin t,\:y’=b\cos t$ なので,ガウスグリーンの定理より,
$S=\displaystyle\int_0^{2\pi}\dfrac{1}{2}(ab\cos t\cos t+ab\sin t\sin t)dt\\
=\displaystyle\int_0^{2\pi}\dfrac{1}{2}abdt\\
=\pi ab$

置換積分などは必要なく,愚直に定積分をするよりはるかに楽です!

グラフの拡大の話は三次元でも通用します。これにてラグビーボール(三次元の楕円体)の体積を求めることができます。

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