2015/12/06

三角関数の有理式の積分

分野: 積分  レベル: 最難関大学

三角関数の有理式の積分は $\tan\dfrac{x}{2}=t$ と置換することによって必ず計算できる。

多項式÷多項式の形の式を有理式(有理関数)と言います。 $\sin x, \cos x$, ($\tan x$)の有理式の積分は機械的な計算でできます!

積分計算の流れ

1.置換積分を用いて有理式の積分に帰着させる
2.有理式を部分分数分解する
3.分解した各項を積分する

このページでは1を詳しく解説します。2については部分分数分解の3通りの方法およびヘビサイドの展開定理で解説しています。3は全パターンをきちんと書くと煩雑になるので,具体例のみ紹介します。

用いる置換

$\tan\dfrac{x}{2}=t$ と置換すると,
$\dfrac{dx}{dt}=\dfrac{2}{1+t^2}$,$\sin x=\dfrac{2t}{1+t^2}$,$\cos x=\dfrac{1-t^2}{1+t^2}$

証明

$\dfrac{dt}{dx}=\dfrac{1}{2\cos^2\frac{x}{2}}=\dfrac{1+t^2}{2}$ より1つめが成立。

$\sin x=2\sin\dfrac{x}{2}\cos\dfrac{x}{2}\\
=2\cos^2\dfrac{x}{2}\tan\dfrac{x}{2}\\
=\dfrac{2t}{1+t^2}$
より2つめが成立。

$\cos x=2\cos^2\dfrac{x}{2}-1\\
=\dfrac{2}{1+t^2}-1\\
=\dfrac{1-t^2}{1+t^2}$
より3つめが成立。

具体例

三角関数の有理式の中では比較的単純なものですが,この方法でやると(機械的にできますが)計算はかなり大変です。ちなみに,これは対称性を用いた定積分の難しい問題の解法の問題1にも登場する関数です。 $\mathrm{Arctan}$ が登場するので厳密には高校数学範囲外ですが,適切な区間の定積分にすれば高校範囲内です。

例題

不定積分 $\displaystyle\int\dfrac{\sin x}{\sin x+\cos x}dx$ を計算せよ。

解答

まず,$\tan\dfrac{x}{2}=t$ と置換すると,上記の公式より求める不定積分は
$\displaystyle\int\dfrac{2t}{2t+(1-t^2)}\cdot\dfrac{2}{1+t^2}dt\\
=-4\displaystyle\int\dfrac{t}{(t^2+1)(t-1+\sqrt{2})(t-1-\sqrt{2})}dt$

これを部分分数分解すると,
$-4\displaystyle\int\left\{\dfrac{At+B}{t^2+1}+\dfrac{C}{t-1+\sqrt{2}}+\dfrac{D}{t-1-\sqrt{2}}\right\}dt$
ただし,$A=B=-\dfrac{1}{4}$,$C=D=\dfrac{1}{8}$

よって,上式は
$\displaystyle\int\left\{\dfrac{t+1}{t^2+1}-\dfrac{1}{2(t-1+\sqrt{2})}-\dfrac{1}{2(t-1-\sqrt{2})}\right\}dt\\
=\dfrac{1}{2}\log (t^2+1)+\mathrm{Arctan}\:t-\dfrac{1}{2}\log |t-1+\sqrt{2}|-\dfrac{1}{2}\log |t-1-\sqrt{2}|+C\\
=\dfrac{1}{2}\log (t^2+1)+\mathrm{Arctan}\:t-\dfrac{1}{2}\log |t^2-2t-1|+C$
($\mathrm{Arctan}$ は $\tan$ の逆関数です→逆三角関数の重要な性質まとめ

ここまででもOKだが,$t$ を $x$ に戻すと(たまたま)きれいになる:
$\dfrac{x}{2}-\dfrac{1}{2}\log|\sin x+\cos x|+C$

例題の積分,相当頭のいい人なら直感で原始関数を思いつくかもしれませんね。
分野: 積分  レベル: 最難関大学