2015/05/16

sinxの微分公式の3通りの証明

分野: 極限,微分  レベル: 基本公式

サインの微分:
$y=\sin x$ の導関数は,$y’=\cos x$

教科書にも載っている超重要公式です。3通りの方法で証明します。

証明1:加法定理を用いる

まずは,多くの教科書で採用されている定番の証明方法です。

なお,$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{\sin h}{h}=1$ は前提知識とします。→sinx/xについて覚えておくべき2つのこと

証明

$\sin x$ の導関数は,微分の定義より,$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{\sin (x+h)-\sin x}{h}$

加法定理を用いて分子を計算する:
$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{\sin x(\cos h-1)+\cos x\sin h}{h}$

ここで,$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{\cos h-1}{h}=0$ (→注)
および $\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{\sin h}{h}=1$
より,導関数は $0+\cos x\cdot 1=\cos x$ となる。

注:$\cos h\simeq 1-\dfrac{h^2}{2}$ を知っていればすぐに分かります。→三角関数の不定形極限の計算
きちんとやるなら,
$\dfrac{\cos h-1}{h}=\dfrac{(\cos h-1)(\cos h+1)}{h(\cos h+1)}\\
=-\dfrac{\sin^2 h}{h^2}\cdot\dfrac{1}{1+\cos h}\cdot h\\\to 0$

証明2:和積公式を用いる

極限計算の際に和積公式を用いてもOKです。

証明

$\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{\sin (x+h)-\sin x}{h}$
(分子を和積公式を用いて計算する)
$=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{2\sin\frac{h}{2}\cos(x+\frac{h}{2})}{h}\\
=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{\sin \frac{h}{2}}{\frac{h}{2}}\cdot\cos(x+\frac{h}{2})\\
=\cos x$

証明3:図形的に解釈する

図形的に解釈することもできます。三角関数を微分すると位相が90度進むことが図形的に納得できます。

証明

$A(\cos x,\sin x),\:B(\cos (x+h),\sin(x+h))$ とおく。

サインの微分

$\dfrac{\sin (x+h)-\sin x}{h}=\dfrac{AB\sin\alpha}{L_{AB}}$
ただし,$L_{AB}$ は弧 $AB$ の長さであり,$h$ が $0$ に近いときは線分 $AB$ の長さで近似できる。

また,$h$ が $0$ に近いとき,$AB$ は $A$ における単位円の接線に近づくので,$\alpha$ は $x+\dfrac{\pi}{2}$ で近似できる。

よって,$h$ が十分 $0$ に近いとき,上式 $\simeq\dfrac{AB\sin (x+\frac{\pi}{2})}{AB}=\cos x$ となる。

注:弧の長さや $\alpha$ を近似している部分が感覚的ですが,厳密に長さを評価することもできます。その場合,証明2と同じ式になります。


なお,$\cos$ の微分の証明も少し違った楽しさがあって楽しいです。→cosxの微分公式のいろいろな証明

最近の趣味は「非常に基本的な公式を複数の方法で証明すること」です。

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