2014/04/18

sinx/xについて覚えておくべき2つのこと

分野: 極限,微分  レベル: 最難関大学

sinc関数:
$y=\dfrac{\sin x}{x}$ はsinc関数と呼ばれる有名な関数である。

sinc関数

sinc関数は信号処理などの工学的な応用も豊富な有名関数です。入試問題を作るのは大学の先生たちで,適当な関数を持ってくるよりも,工学的に意味を持つ関数を出題する可能性の方が高いと思われます。(僕の主観です)

そこで,このページでは入試問題のテーマとなりうるsinc関数について考えてみます。

sinc関数についてマスターしておくべきことは以下の2点です。

1:sinc関数の $x\to 0$ での極限が証明できること。
2:sinc関数のグラフが素早く書けること。

実際に1は2013年の阪大理系でそのまま出題されています。

sinx/xの極限が1になることの証明

これは教科書に載っている有名な公式で,導出方法は覚えていないと分かりません。その場でひらめくのは無理があるでしょう。

 sinx/xの極限

証明

図において面積に以下の関式が成立する:
三角形 $OAB <$扇型 $OAB <$三角形 $OBC$
すなわち,
$\dfrac{1}{2}\sin x < \dfrac{1}{2}x < \dfrac{1}{2}\tan x$
両辺 $\sin x$ で割って逆数をとる:
$\cos x < \dfrac{\sin x}{x} < 1$
ここで,$x \to +0$ とすると,$\cos x=1$ なのではさみうちの原理から $\displaystyle\lim_{x\to +0}\dfrac{\sin x}{x}=1$
また,$\dfrac{\sin x}{x}=\dfrac{\sin (-x)}{-x}$ なので,
$\displaystyle\lim_{x\to -0}\dfrac{\sin x}{x}=1$
以上から,
$\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{\sin x}{x}=1$

注1:図形的性質が使えるのは $x > 0$ の場合だけなのでまわりくどいですが $x \to -0$ の場合も証明する必要があります。

注2:$\sin x <x$ は $\sin x$ を上からおさえる公式ですが,下からおさえる有名な不等式もあります。→ジョルダンの不等式とその3通りの証明

sinc関数の拡張

sinc関数:$y=\dfrac{\sin x}{x}$ は厳密には $x=0$ では定義されていません。しかし,定義域が実数全体で連続な関数は考えやすくて嬉しいため実際は以下の形で登場することが多いです。

$y=\begin{cases}
\dfrac{\sin x}{x}\:(x\neq 0) \\
1\:\:\:\:\:\:\:\:(x=0)
\end{cases}$

上記で証明した $\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{\sin x}{x}=1$ を利用して $x=0$ で連続になるよう調整しています。以下,この拡張したsinc関数のグラフを速攻で書く方法を紹介します。

$y=\tfrac{\sin x}{x}$ のグラフ

一般的に $y=f(x)\sin x$ のグラフは以下の3段階の手順でかけます!

1:$y=f(x), y=-f(x)$ のグラフをかく
2:$x=n\pi$  ($n$ は整数)と $x$ 軸の交点に点を打つ。
3:$\sin x$ のグラフを伸縮させながらかく

sinc関数のグラフ

sinc関数の場合,$f(x)=\dfrac{1}{x}$ です。上記の手順に従ってグラフをかいてみました。

面倒な微分計算,増減表は必要ありません!この方法は是非マスターしてください。
$y=e^x\sin x,y=e^x\cos x$ なども同様にして簡単にグラフをかくことができます。

微分する前にちょっとだけグラフのイメージを考えてみるべし。

Tag: 大学入試で頻出の有名な関数まとめ

分野: 極限,微分  レベル: 最難関大学