シンプソンの公式の証明と例題

シンプソンの公式

f(x)f(x) が三次以下の関数のとき,

abf(x)dx=(ba)6{f(a)+4f(a+b2)+f(b)}\displaystyle\int_a^bf(x)dx\\=\dfrac{(b-a)}{6}\{f(a)+4f\left(\dfrac{a+b}{2}\right)+f(b)\}

三次関数の定積分を素早く計算(検算)できます!

シンプソンの公式の応用例

シンプソンの公式は,三次以下の関数の定積分の計算に使える便利な公式です。

例題

13(x3+2x23x)dx\displaystyle\int_1^3(x^3+2x^2-3x)dx の値を求めよ。

解答

被積分関数を f(x)f(x) とおくと,シンプソンの公式より

13f(x)dx=26{f(1)+4f(2)+f(3)}\displaystyle\int_1^3f(x)dx=\dfrac{2}{6}\{f(1)+4f\left(2\right)+f(3)\}

ここで,

  • f(1)=0f(1)=0
  • f(2)=8+86=10f(2)=8+8-6=10
  • f(3)=27+189=36f(3)=27+18-9=36

より,求める値は,

26(0+40+36)=763\dfrac{2}{6}(0+40+36)=\dfrac{76}{3}

この例題をシンプソンの公式を使わずに愚直に計算すると,めんどうな分数計算が必要です。

シンプソンの公式は,面積や体積を求めるときにも使えます。面積や体積の計算に三次関数の定積分がしばしば出現するためです。

シンプソンの公式の意味

シンプソンの公式

abf(x)dx=(ba)6{f(a)+4f(a+b2)+f(b)}\displaystyle\int_a^bf(x)dx\\=\dfrac{(b-a)}{6}\{f(a)+4f\left(\dfrac{a+b}{2}\right)+f(b)\}

は,見た目は複雑ですが意味は単純です。

  • 定積分=面積=幅×平均の高さ
  • 幅は (ba)(b-a)
  • 平均の高さを 16{f(a)+4f(a+b2)+f(b)}\dfrac{1}{6}\{f(a)+4f(\dfrac{a+b}{2})+f(b)\} と見積もる

という発想です。平均の高さを,区間の端だけでなく真ん中も使って見積もるのが面白いです。重みが 1:4:1 なのは,そうするとうまくいくからです(後ほどきちんと証明します)。

シンプソンの公式は「1:4:1の重み付き平均で面積を概算したもの」と覚えればよいのです。

ちなみに,平均の高さを「平均の高さ f(a)+f(b)2\fallingdotseq\dfrac{f(a)+f(b)}{2}」と見積もると台形近似公式になります。

シンプソンの公式の証明

証明は素直に計算するだけなので簡単です。

証明の概略

f(x)=Ax3+Bx2+Cx+Df(x)=Ax^3+Bx^2+Cx+D とおいて頑張って計算すると,

左辺の6倍は,

6A4(b4a4)+6B3(b3a3)+6C2(b2a2)+6D(ba)6\cdot\dfrac{A}{4}(b^4-a^4)+6\cdot\dfrac{B}{3}(b^3-a^3)\\ +6\cdot\dfrac{C}{2}(b^2-a^2)+6D(b-a)

右辺の6倍は,

(ba){A(a3+b3)+B(a2+b2)+C(a+b)+2D+4A(a+b2)3+4B(a+b2)2+4C(a+b2)+4D}(b-a)\{A(a^3+b^3)+B(a^2+b^2)+C(a+b)+2D\\ +4A(\dfrac{a+b}{2})^3+4B(\dfrac{a+b}{2})^2+4C(\dfrac{a+b}{2})+4D\}

これらは等しい!(A,B,C,DA,B,C,D の係数を比較すればわりと簡単に確認できる)

もう一つシンプソンの公式の導出方法を紹介します。これは三次関数の場合のきちんとした証明にはなっていませんが,シンプソンの公式を拡張する際に使える重要な考え方です。

別の導出方法の概略

任意の関数 f(x)f(x) に対して定積分 abf(x)dx\displaystyle\int_a^bf(x)dx の値を概算したい。

そこで,x=a,a+b2,bx=a, \dfrac{a+b}{2}, bf(x)f(x) と同じ値を取る二次関数 g(x)g(x)ラグランジュの補間公式により求める。 つまり,f(x)f(x) に似ていて f(x)f(x) よりも扱いやすい関数 g(x)g(x) を持ってきてそちらを使う。

この g(x)g(x) を積分してやるとシンプソンの公式の右辺が出てくる。

f(x)f(x) が二次関数のときは当然 f(x)=g(x)f(x)=g(x) なのでシンプソンの公式は成立するわけだが,実は f(x)f(x) が三次関数のときも積分値は一致する。

シンプソンの公式は応用上は三次関数の計算というよりも,数値積分(コンピュータ上で難しい関数の定積分の値を計算する)の分野で活躍する公式です。

Tag:積分を用いた面積,体積の求積公式まとめ