2015/02/15

四面体の体積を求める2つの公式with行列式

分野: 線形代数  レベル: 最難関大学

一般的な四面体の体積を求める公式を二つ解説します。行列式が登場しますが,行列式を知らなくても楽しめます!応用例として東北大の入試問題も。

なお,四面体が特別な場合にはもっと簡単な公式で体積が求まります。
正四面体の場合:→正三角形の面積,正四面体の体積
等面四面体の場合:→等面四面体とその性質

行列式

3×3の行列(数字を9個並べたもの)$M=\begin{pmatrix}
x_1 & y_1 & z_1 \\
x_2 & y_2 & z_2\\
x_3 & y_3 & z_3\end{pmatrix}$
に対して行列式というものを $\det M=y_1z_2x_3+z_1x_2y_3+x_1y_2z_3-z_1y_2x_3-x_1z_2y_3-y_1x_2z_3$ と定義します。

行列式には同値な定義がいくつかあります(→行列式の3つの定義と意味)が,この記事では上式を定義と見ることにします。

四面体の体積と行列式

四面体の各頂点の座標が与えられているときには上記の行列 $M$ を用いて四面体の体積を表すことができます。

$O(0,0,0),A(x_1,y_1,z_1), B(x_2,y_2,z_2),C(x_3,y_3,z_3)$ を頂点とする四面体の体積は $\dfrac{1}{6}|\det M|$ となる。

証明にはベクトルの外積&点と平面の距離公式を用います。サラスの公式の下の方で詳しく解説しています。

この公式にはいろいろな言い換えがあります。


1.上記の四面体の体積は
$\dfrac{1}{6}|\det M^{\mathrm{T}}|=\dfrac{1}{6}\left|\det\begin{pmatrix}
x_1 & x_2 & x_3 \\
y_1 & y_2 & y_3\\
z_1 & z_2 & z_3\end{pmatrix}\right|$ である。

行列式は転置しても変わらない(簡単な計算で証明できる)ので $A$ の座標を縦と横どっちに並べるんだっけ、、と迷う必要はありません。


2. $\overrightarrow{OA},\overrightarrow{OB},\overrightarrow{OC}$ が作る四面体の体積は
$\dfrac{1}{6}|\det(\overrightarrow{OA},\overrightarrow{OB},\overrightarrow{OC})|$ である。

1をベクトルを使って表記するとこのようになります。


3. $\overrightarrow{OA},\overrightarrow{OB},\overrightarrow{OC}$ が張る平行六面体の体積は
$|\det(\overrightarrow{OA},\overrightarrow{OB},\overrightarrow{OC})|$ である。

四面体の体積を六倍すると,考えている平行六面体の体積になることは簡単に分かるので2と3は同値です。

三辺と三つの角度or六辺の長さから体積を求める

(一つの頂点に集まる)三辺と三つの角度が分かっているときに使える公式です!

$OA=a,OB=b,OC=c,\:$ $\angle AOB=\gamma,\angle BOC=\alpha,\angle COA=\beta$ のとき,四面体 $OABC$ の体積は,
$V=\dfrac{abc}{6}\sqrt{1+2\cos\alpha\cos\beta\cos\gamma-(\cos^2\alpha+\cos^2\beta+\cos^2\gamma)}$

なお,六辺の長さが全て求まっているときには余弦定理により角度($\cos$)が簡単に求まるので,この公式を使えば六辺の長さから四面体の体積を機械的に求めることもできます。

証明の前に例題です。この公式,一見かなりマニアックですが,意外と検算に使えます。
2013年東北大学の問題の小問をカットしたものです。

例題

$OA=OB=OC=1,\:$ $\angle AOB=60^{\circ},\angle BOC=45^{\circ},\:\angle COA=45^{\circ}$ のとき四面体 $OABC$ の体積を求めよ。

解答

上記の公式より,求める体積は
$\dfrac{1}{6}\sqrt{1+2\cdot\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{1}{\sqrt{2}}\cdot\dfrac{1}{\sqrt{2}}-(\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{2})}=\dfrac{1}{12}$

公式の証明

行列式の性質を使うことでエレガントに証明します!(ここからは完全に大学内容です)

証明

前半の公式より,
$6V=|\det M|=|\det M^{\mathrm{T}}|$
よって,$36V^2=\det M\det M^{\mathrm{T}}=\det (MM^{\mathrm{T}})$
ただし,ここで「行列式の積=積の行列式」を用いた。

$MM^{\mathrm{T}}$ を計算してみると,
$\begin{pmatrix}
a^2 & ab\cos\gamma & ac\cos\beta \\
ab\cos\gamma & b^2 & bc\cos\alpha \\
ac\cos\beta & bc\cos\alpha & c^2\end{pmatrix}$
である(例えば$(1,2)$ 成分は $\overrightarrow{OA}\cdot \overrightarrow{OB}=ab\cos\gamma$ のように計算できる)。よって,
$\det MM^{\mathrm{T}}=a^2b^2c^2\det \begin{pmatrix}
1 & \cos\gamma & \cos\beta \\
\cos\gamma & 1 & \cos\alpha \\
\cos\beta & \cos\alpha & 1\end{pmatrix}$
この行列式を計算して $36V^2=\det (MM^{\mathrm{T}})$ に代入すると求める公式を得る。

行列式を知っている人には最後の証明で「うおおおお、すげえええ」ってなって欲しいです。
分野: 線形代数  レベル: 最難関大学