2015/03/01

数列の発散,収束,振動の意味と具体例

分野: 数列  レベル: 基本公式

数列の極限は,
1.(有限の値に)収束する
2A.正の無限大に発散する
2B.負の無限大に発散する
3.振動する

のいずれかである。2と3の場合をいずれも発散すると言う。

最初に発散,収束,振動の意味をそれぞれ説明し,後半で具体例をいろいろ紹介します。

数列の極限の分類

〜収束と発散の区別〜
項が進むにつれて一定の値 $\alpha$ に限りなく近づくとき,数列 $a_n$ は $\alpha$ に「収束する」と言います。 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\alpha$ と書きます。

収束しない数列をまとめて発散すると言います。


〜発散の中でもさらに分類〜
発散する数列の中でも,項が進むにつれていくらでも値が大きくなるとき,「正の無限大に発散する」と言います(注)。 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\infty$ と書きます。
同様に,項が進むにつれていくらでも値が小さくなるとき,「負の無限大に発散する」と言います。 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=-\infty$ と書きます。

ここまでのいずれにも当てはまらないような数列をまとめて「振動する」と言います。

注:「正の無限大に発散」の定義を厳密に言うと,
「任意の実数 $R$ に対して,ある $N$ が存在して,$n\geq N$ なら $a_n\geq R$ 」です。

収束する数列の例

例題1(易):数列 $a_n=\dfrac{1}{n}$ の極限を調べよ。

解答

$n$ が大きくなるにつれて $a_n$ は $0$ にいくらでも近づくので $\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=0$


例題2(難):数列 $S_n=\displaystyle\sum_{k=1}^n\dfrac{1}{k^2}$ の極限を調べよ。

解答

実は $S_n$ は $\dfrac{\pi^2}{6}$ に収束することが知られている。収束することの証明は比較的簡単だが,$\dfrac{\pi^2}{6}$ に収束することの証明はかなり大変。→バーゼル問題の初等的な証明

発散する数列の例

例題3(易):数列 $a_n=-n$ の極限を調べよ。

解答

$n$ が大きくなるにつれて $a_n$ はいくらでも小さくなるので
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=-\infty$(負の無限大に発散する)


例題4

数列 $S_n=\displaystyle\sum_{k=1}^n\dfrac{1}{k}$ の極限を調べよ。

解答

調和級数と呼ばれる有名な問題。
$S_n$ は正の無限大に発散する。→調和級数1+1/2+1/3…が発散することの証明


例題5

数列 $a_n=(-1)^n$ の極限を調べよ。

解答

$a_n$ は$-1$ と $1$ をひたすら交互に繰り返す。収束,正の無限大に発散,負の無限大に発散,のいずれにも当てはまらないので振動する。

注意

  • 2Aのパターンのときに「正の無限大に発散する」と書かずに単に「発散する」と言うこともあるので注意してください。(「発散」と言うと振動も含む広い意味での「発散」なのか「正の無限大に発散」を省略したのか文脈によって判断する必要がある)。
  • 「限りなく近づく」とか「いくらでも値が大きくなる」という表現は数学的に厳密ではありません。そこで,大学できちんと数列の極限を定義するときには $\varepsilon -\delta$ 論法($\varepsilon -n$ 論法とも)というものを用います。

ただ,高校数学,大学受験の範囲では上記の(少しあいまいな?)定義を理解しておけば全く問題ありません。

振動は「バネのようなイメージ」と覚えるのではなくて「極限が定まらないもの」という消去法的な定義であることを理解しておきましょう。

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