2014/11/04

正多面体が5種類しかないことの2通りの証明

分野: 空間図形  レベル: 基本公式

正多面体は,正四面体,正六面体,正八面体,正十二面体,正二十面体の5つのみ。

正多面体がこの5種類以外にないことの証明を解説します。入試や数オリで直接役立つことはありませんが,雑学として知っておくとよいでしょう。

正多面体の定義

そもそも「正多面体」とは何なのかきちんと確認しておきます。正多面体とは,以下の三つの条件を満たす非常に対称性の高い多面体です。

1:全ての面が合同な正多角形で構成されている
2:いずれの頂点に集まる辺の数(=面の数)も等しい
3:凸多面体(へこんでいない)

正多面体じゃないもの

例えば条件1と3だけだと図のような正三角形六個で構成される多面体も満たしてしまいます。青の頂点からは辺が4本,緑の頂点からは辺が3本出ており条件2を満たしません。これでは「正多面体」と呼ぶには対称性が足りません。

以上を踏まえると,正多面体は以下の $M, N$ を決めることで一意に定まることが分かります。

  • 一つの面の辺の数 $M$(正何角形なのか)。
  • 一つの頂点に集まる辺の数(=面の数)$N$ 。

よって,$M, N$ がとりうる値が5種類しかないことを証明するのが目標になります。

※条件3がないと $M, N$ を決めても一般に多面体は一つには決まりません。

正多面体が5種類しかないことの証明1

凸多面体に一般的に成立する性質:一つの点に集まる角度の和が $360^{\circ}$ 未満である,ことを使えば簡単に証明できます。この性質は認めて下さい(納得できない人は以下の証明2で納得するか,実際に紙などで $360^{\circ}$ 以上の角度を一つの頂点にへこませないように集める実験をしてみてください。)

証明

正 $M$ 角形の一つの内角の大きさは$(\dfrac{180(M-2)}{M})$ 度なので,一つの頂点に集まる角度の和は
$180\dfrac{M-2}{M}N$ 度である。これが $360^{\circ}$ 未満であるので,
$180\dfrac{M-2}{M}N <360$
ここからは整数問題。上式を整理すると,$NM-2M-2N <0$
$(M-2)(N-2) <4$
$M, N$ は定義よりいずれも $3$ 以上であることに注意すると,上の不等式を満たす$(M,N)$ の組は以下の $5$ 通りであることが分かる:
$(M,N)=(3,3),(3,4),(3,5),(4,3),(5,3)$
それぞれが正四面体,正八面体,正二十面体,正六面体,正十二面体に対応しており,正多面体はこの5種類のみであることが証明された。

証明1のメリット
・オイラーの多面体定理とか難しい道具を使わなくてよい,分かりやすい,簡単。

正多面体が5種類しかないことの証明2

オイラーの多面体定理を使います。一般に多面体の頂点の数を $V$,辺の数を $E$,面の数を $F$ とおくと $V-E+F=2$ が成立します。→オイラーの多面体定理の証明

証明

$F$ 個の正 $M$ 角形では合わせて辺が $MF$ 本あるが,一つの辺は二つの面に属するので,$MF=2E$

また,$V$ 個の頂点にそれぞれ $N$ 本の辺が集まり,一つの辺は二つの頂点を結ぶので,$NV=2E$

これらを $V-E+F=2$ に代入して $E$ のみの式にする:
$\dfrac{2E}{N}-E+\dfrac{2E}{M}=2$
$\dfrac{2}{M}+\dfrac{2}{N}-1=\dfrac{2}{E}$
右辺は正なので左辺も正。よって
$\dfrac{2}{M}+\dfrac{2}{N} > 1$
$NM-2M-2N <0$
となり証明1と全く同じ不等式が得られた!以下証明1と同様。

証明2のメリット

  • オイラーの多面体定理を使うので面白い,辺と面と頂点の数の関係を使うのは重要な考え方。
  • 証明1のときに認めた性質を使わなくてもOK。
幼少時代,正多面体のおもちゃと戯れていた過去があります。

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