整数部分と小数部分の意味と例題

整数部分と小数部分
  • 小数点以下を切り捨てたものを整数部分と言います。
  • 残った部分を小数部分と言います。

pic01 例えば 3.143.14 の整数部分は 33 で,小数部分は 0.140.14 です。

整数部分小数部分の定義といろいろな例題(ルートを含む場合、マイナスの場合など)を解説します。

整数部分と小数部分

整数部分とは

  • 小数点以下を切り捨てたものを整数部分と言います。例えば,3.143.14 の整数部分は 33 です。
  • よりきちんと言うと,実数 rr に対して,rr 以下の整数で最大のものを rr の整数部分と言います。3.143.14 以下の最大の整数は 33 ですね。

小数部分とは

  • 残った部分を小数部分と言います。例えば,3.143.14 の小数部分は 0.140.14 です。
  • よりきちんと言うと,rr-rr の整数部分」のことを rr の小数部分と言います。3.143=0.143.14-3=0.14 ですね。
  • 3.143.14 の整数部分は 33,小数部分は 0.140.14

  • 11 の整数部分は 11,小数部分は 00

  • π\pi の整数部分は 33,小数部分は π3\pi-3

記号

ルート(平方根)の整数部分・小数部分

例題1

5\sqrt{5} の整数部分と小数部分を計算せよ。

ルート(平方根)の整数部分を求めてみましょう。「切り捨てる」と言うとわかりにくいですが,整数部分と小数部分の定義をきちんと理解していれば解けます。

解答
  • 整数部分は「5\sqrt{5} 以下の整数で最大のもの」である。 5\sqrt{5}22 より大きく 33 より小さいので,整数部分は 22
  • 小数部分は,もとの数から整数部分を引けばいいので 小数部分は 52\sqrt{5}-2

マイナスの整数部分・小数部分

負の数についても,整数部分・小数部分の定義は同じです:

  • 整数部分:rr 以下の整数で最大のもの
  • 小数部分:rr-rr の整数部分」

上記の定義にもとづいて問題を解いてみましょう。

例題2

2.3-2.3π-\pi の整数部分と小数部分を求めよ。

解答
  • 2.3-2.3 の整数部分は 2.3-2.3 以下の整数で最大のもの」である。 つまり,整数部分は 3-3,小数部分は「もとの数ー整数部分」なので,2.3(3)=0.7-2.3-(-3)=0.7

  • 同様に,π-\pi の整数部分は 4-4,小数部分は π(4)=4π-\pi-(-4)=4-\pi

注:負の数の整数部分,小数部分について「2.3-2.3 の整数部分を 2-2,小数部分を 0.3-0.3 とする」という考え方も可能ですが,小数部分が 00 以上 11 未満になるように上記のように定義することが多いです。

分数を含む式の整数部分,小数部分

次は分数とルートを含む無理数です。

例題3

3+52\dfrac{3+\sqrt{5}}{2} の整数部分と小数部分を求めよ。

ゆるい解答

5\sqrt{5}2.2362.236 くらいなので,3+5=5.2363+\sqrt{5}=5.236 くらい。 3+52\dfrac{3+\sqrt{5}}{2}2.62.6 くらい。

よって,3+52\dfrac{3+\sqrt{5}}{2} の整数部分は 22 ,小数部分は (3+52)2=512\left(\dfrac{3+\sqrt{5}}{2}\right)-2=\dfrac{\sqrt{5}-1}{2}

きちんとした解答

4<5<94< 5 < 9 より各辺のルートをとると 2<5<32< \sqrt{5} < 3 である。

よって,52<3+52<3\dfrac{5}{2}<\dfrac{3+\sqrt{5}}{2}< 3

つまり,3+52\dfrac{3+\sqrt{5}}{2} の整数部分は 22,小数部分は (3+52)2=512\left(\dfrac{3+\sqrt{5}}{2}\right)-2=\dfrac{\sqrt{5}-1}{2}

注:答えの値だけを素早く求めたいときは「ゆるい解答」のように大雑把な値を計算するのがオススメです。実際に記述式の試験の解答を書くときには「きちんとした解答」のように不等式ではさみましょう。

式の値を計算する問題

例題4

4+34+\sqrt{3} の整数部分を aa,小数部分を bb とするとき,a2+2ab+b2+2ba^2+2ab+b^2+2b の値を計算せよ。

解答

5<4+3<65 < 4+\sqrt{3}< 6 より,a=5,b=31a=5,b=\sqrt{3}-1

地道に計算すると,求める値は

52+25(31)+(31)2+2(31)=25+10310+423+232=17+1035^2+2\cdot 5\cdot(\sqrt{3}-1)+(\sqrt{3}-1)^2+2(\sqrt{3}-1)\\ =25+10\sqrt{3}-10+4-2\sqrt{3}+2\sqrt{3}-2\\ =17+10\sqrt{3}

別解

a=5a=5a+b=4+3a+b=4+\sqrt{3} より,求める値は

(a+b)2+2(a+b)2a=(4+3)2+2(4+3)25=19+83+8+2310=17+103(a+b)^2+2(a+b)-2a\\ =(4+\sqrt{3})^2+2(4+\sqrt{3})-2\cdot 5\\ =19+8\sqrt{3}+8+2\sqrt{3}-10\\ =17+10\sqrt{3}

注:「整数部分と小数部分を足すともとの数になる」ので a+b=43a+b=4\sqrt{3} です。(a+b)(a+b) を使って式を変形すると少しだけ計算が楽になる場合もあります。

→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT123では,このような問題で計算ミスをしないためのコツを紹介しています。

式の計算の問題は計算ミスとの闘いになります。複数の解答方法を知っていると検算に役立ちます。