関数の右極限,左極限と連続性

  • 右極限とは,右から近づいたときの極限

  • 左極限とは,左から近づいたときの極限

  • 右連続とは,右から近づいたときにつながっていること

  • 左連続とは,左から近づいたときにつながっていること

関数の右極限,左極限,右連続,左連続,連続について解説します。

右極限とは

一変数関数 f(x)f(x) について考えます。

右極限の定義

xx が点 aaから近づいたときの極限をaa における f(x)f(x) の右極限と言う。

右極限の例

右極限の例

f(x)=1xf(x)=\dfrac{1}{x}x=0x=0 では定義されないが,00 に右から近づくと ++\infty に発散するので,x=0x=0 における右極限は ++\infty

数式で表すと,limxa+0f(x)=\displaystyle\lim_{x \to a+0}f(x)=\infty

このように,右極限は limxa+0f(x)\displaystyle\lim_{x \to a+0}f(x)limxaf(x)\displaystyle\lim_{x \downarrow a}f(x) という記号を使って表されます。

左極限とは

左極限も,右極限と同様です。

左極限の定義

xx が点 aaから近づいたときの極限を点 aa における f(x)f(x)左極限と言う。

左極限の例

左極限の例

f(x)=1xf(x)=\dfrac{1}{x}x=0x=0 では定義されないが,00 に左から近づくと -\infty に発散するので,x=0x=0 における左極限は -\infty

数式で表すと,limxa0f(x)=\displaystyle\lim_{x \to a-0}f(x)=\infty

このように,左極限は limxa0f(x)\displaystyle\lim_{x \to a-0}f(x)limxaf(x)\displaystyle\lim_{x \uparrow a}f(x) という記号を使って表されます。

右連続とは

xx が点 aa に右から近づいたとき,関数 f(x)f(x) がとぎれることなく aa までたどりつけるとき f(x)f(x)x=ax=a で右連続と言います。数学的にきちんと言うと,

右連続の定義

limxa+0f(x)=f(a)\displaystyle\lim_{x \to a+0}f(x)=f(a) であるとき(つまり,x=ax=a で右極限が存在して f(a)f(a) と等しいとき)f(x)f(x)x=ax=a で右連続と言う。

f(x)=x(x1)f(1)=2f(x)=x\:(x\neq 1),f(1)=2 という関数は x=1x=1 で右連続か?

右連続でない例

x=1x=1 に右側から近づくと 11 です。つまり右極限 limxa+0f(x)\displaystyle\lim_{x \to a+0}f(x)11 です。しかし,これは f(1)=2f(1)=2 と一致しません。よって,x=1x=1 で右連続ではありません。

左連続とは

右連続がわかれば左連続も同じです。

左連続の定義

limxa0f(x)=f(a)\displaystyle\lim_{x \to a-0}f(x)=f(a) であるとき(つまり,x=ax=a極限が存在して f(a)f(a) と等しいとき)f(x)f(x)x=ax=a で左連続と言う。

連続とは

x=ax=a で右連続かつ左連続なとき,つまりどっち側から近づいてもつながっているとき x=ax=a で連続と言います。

さきほどの例

f(x)=x(x1)f(1)=2f(x)=x\:(x\neq 1),f(1)=2x=1x=1 においては右連続でも左連続でもないので,当然連続ではない。

右連続だが連続でない関数の例

右連続だが左連続でない(したがって連続でない)関数を二つ紹介します。応用上も重要な例です。

例2(ガウス記号)

xx の整数部分を返す関数,f(x)=xf(x)=\lfloor x\rfloor は右連続だが xx が整数の点で左連続ではない。

ガウス記号のグラフ

例えば x=1x=1 に左から近づいても極限値は 00 のままで f(1)=1f(1)=1 に一致しないので左連続ではありません。ガウス記号についてはガウス記号の定義と3つの性質を参照して下さい。

例3(分布関数)

分布関数

確率変数 XXXxX\leq x となるような確率 P(Xx)P(X\leq x) を分布関数と呼び,F(x)F(x) で表す。分布関数は右連続だが左連続とは限らない。

図はサイコロの出る目 XX の分布関数です。例えば,3.83.8 以下の目が出る確率は 12\dfrac{1}{2} なので F(3.8)=12F(3.8)=\dfrac{1}{2} となります。

世の中には上極限,下極限,上半連続,下半連続などという概念もあります。

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