2015/03/26

三次方程式の判別式の意味と使い方

分野: 方程式,恒等式  レベル: 最難関大学

三次方程式の判別式の定義:
三次方程式 $ax^3+bx^2+cx+d=0$ の解を $\alpha,\beta,\gamma$ とおく。このとき,判別式を, $D=a^4(\alpha-\beta)^2(\beta-\gamma)^2(\gamma-\alpha)^2$
とする。


この記事では実数係数の三次方程式のみを考えます。判別式に関する定理を解説し,最後に例題。

三次方程式の判別式

  • 二次方程式の判別式 $b^2-4ac$ は,$a^2(\beta-\alpha)^2$ と表すこともできます。(→二次方程式の判別式についての知識まとめの一番下)
  • 一般に $n$ 次方程式の判別式は多項式の係数を用いて定義されるのではなく「解の差の二乗をかけあわせたもの(に $a^{2n-2}$ をかけたもの)」で定義されます。
  • 三次方程式の判別式を多項式の係数で表すこともできます(後述)。このとき分数が登場するのを防ぐために頭に $a^4$ がついていますが,本質的に重要な部分ではありません。

重解判定

定理1:
三次方程式において,判別式 $D=0\iff$ 重解を持つ。

判別式の定義式より,当たり前の定理です。これは一般の $n$ 次方程式で成立します。

実数解の個数の判定

定理2:
三次方程式において,
$D > 0\iff$ 相異なる実数解を三つ持つ
$D <0\iff$ 実数解は一つ

注:この定理は三次方程式でしか成立しません。

定理2の証明には共役複素数の覚えておくべき性質の性質2を使います。

証明

実数係数の三次方程式の解について,以下の3パターンに場合分けできる。

1.重解あり
2.相異なる実数解が3つ
3.実数解が1つ,(互いに共役な)複素数解が2つ

  • 1のとき $D=0$ である(定理1)。
  • 2のとき,判別式は明らかに正。
  • 3のとき,解は $\alpha,A+Bi,A-Bi$($\alpha,A,B$ は実数)とおける。

このとき,判別式を計算すると
$D=a^4(\alpha-A-Bi)^2(\alpha-A+Bi)^2(2Bi)^2\\
=a^4\{(\alpha-A)^2-(Bi)^2\}^2\times (-4B^2)\\
=-4a^4B^2\{(\alpha-A)^2+B^2\}^2 <0$
($B > 0$ に注意)

以上により定理2が示された。

判別式を係数で表す

上記の定理1,2だけでは使い物になりません。実数解の個数を判定するためには判別式を係数で表す必要があります。

定理3:三次方程式 $ax^3+bx^2+cx+d=0$ の判別式は,
$D=-4ac^3-27a^2d^2+b^2c^2+18abcd-4b^3d$
特に,三次方程式 $x^3+cx+d=0$ の判別式は,
$D=-4c^3-27d^2$

一つ目で $a=1,b=0$ としたものが二つ目です。

二つ目の証明の概略のみ示します。考え方は簡単ですが計算はめんどくさいです。

(定理3の二つ目の証明の概略)
三次方程式の解と係数の関係より,$\alpha+\beta+\gamma=0$,$\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha=c$,$\alpha\beta\gamma=-d$
これを用いて対称式$(\alpha-\beta)^2(\beta-\gamma)^2(\gamma-\alpha)^2$ を $c,d$ で表すと$-4c^3-27d^2$ となる。

例題

例題

方程式 $x^3-x+t=0$ が相異なる実数解を三つ持つための条件を求めよ。

解答

$D=4-27t^2$
よって,$D > 0$ となる条件は $t^2 <\dfrac{4}{27}$ である。

注:判別式など使わずにグラフと $x$ 軸との共有点の数を見るのが正攻法です。判別式を使うとやや楽ですが,記述式で使うのは危険ですので検算に使う程度にしておきましょう。

四次以上の方程式の判別式は複雑すぎて使い物になりません。
分野: 方程式,恒等式  レベル: 最難関大学