2015/06/18

ロルの定理,平均値の定理とその証明

分野: 解析  レベル: 大学数学

1.最大値の原理を用いてロルの定理を証明
2.ロルの定理を用いて平均値の定理を証明
という有名な流れを解説。

最大値の原理

最大値の原理も立派な定理で,厳密には証明すべきことですがこの記事では認めてしまいます。

最大値の原理(一次元):有界閉区間上の連続関数は最大値を持つ。

感覚的には当たり前ですね!

ロルの定理とその証明

ロルの定理:
区間 $[a,b]$ で連続,$(a,b)$ で微分可能,$f(a)=f(b)$ である関数 $f(x)$ に対して,
$a <c <b$ なる $c$ で $f'(c)=0$ を満たす $c$ が存在する。

実用上はあまり登場しない定理です。平均値の定理の証明のための定理という感じです。

証明

・ $f(x)$ が区間内で定数関数のとき
$a <c <b$ なる任意の $c$ で $f'(c)=0$ となりOK

・ $f(a) <f(t)$ なる $t$ が存在するとき
最大値の原理より,$a <c <b$ で $f(c)$ が最大となるような $c$ が存在する。このとき $f'(c)=0$ を証明する。 $f(x)$ が $x=c$ で微分可能であることと $f(c)\geq f(c+h)$ より,
$f'(c)=\displaystyle\lim_{h\to +0}\dfrac{f(c+h)-f(c)}{h}\leq 0$
$f'(c)=\displaystyle\lim_{h\to -0}\dfrac{f(c+h)-f(c)}{h}\geq 0$
つまり $f'(c)=0$

・ $f(a) > f(t)$ なる $t$ が存在するときも同様(最小値を考える)

平均値の定理

平均値の定理:
区間 $[a,b]$ で連続,$(a,b)$ で微分可能な関数 $f(x)$ に対して,
$a <c <b$ なる $c$ で $\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c)$ を満たす $c$ が存在する。

  • 図形的な意味や応用例については平均値の定理とその応用例題2パターンをどうぞ。
  • $f(a)=f(b)$ なる関数に平均値の定理を用いるとロルの定理が出てきます。つまり,平均値の定理はロルの定理の一般化です。

平均値の定理の証明

平均値の定理はロルの定理の一般化とみなせましたが,実はロルの定理から簡単に導出できます!

ロルの定理を使うために,関数 $f(x)$ に一次関数を加えてロルの定理の条件「端っこの値が等しい」を満たすような関数 $g(x)$ を作ります。

証明

おもむろに関数 $g(x)=f(x)+Ax$ を考えてみる。 $g(a)=g(b)$ となるような $A$ を探す:
$f(a)+Aa=f(b)+Ab$
$A=-\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}$

つまり,$g(x)=f(x)-\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}x$ という関数は $g(a)=g(b)$ を満たす。よってロルの定理が使えて,$a <c <b$ なる $c$ で $g'(c)=0$ を満たす $c$ が存在する。
$g'(c)=f'(c)-\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}$ であるので題意は示された。

注:一次関数を求める部分(「つまり」以前の部分)は証明には不要ですが,考え方を伝えるために書きました。

ロルはRolleと書きます。ロールケーキ(roll cake)のrollとは違います。
分野: 解析  レベル: 大学数学