2014/09/14

ポリアの壺にまつわる確率とその証明

分野: データの分析,確率  レベル: 最難関大学

ポリアの壺:
壺に赤玉が $a$ 個,白球が $b$ 個入っている。その中から玉を1つ無作為に取り出し,選んだ玉を壺に戻した上で選んだ玉と同じ色の玉を1つ壺に加える。
この試行を $n$ 回繰り返す。 $n$ 回目に赤玉が選ばれる確率は $p_n=\dfrac{a}{a+b}$


確率の有名問題です。ポリアの壺にまつわる問題は京大など難関大でときどき出題されています。
$p_n$ が $n$ に依存しないというのが驚きですね。

ポリアの壺の意味

ポリアの壺では1回ごとに玉が1つずつ増えていきます。例えば $a=1, b=1$ で1回目に赤玉を選ぶと,2回目の試行の際には壺に赤玉が2個,白玉が1個あることになります。

玉を選ぶタイプの問題の多くは,
1:「選んだ玉は元に戻さない」または
2:「選んだ玉を元に戻す」
という条件の元で考えますが,
3:「選んだ玉を戻して更に同じ色を追加する」という奇妙な条件を課した確率モデルをポリアの壺と言います。

1では「過去に選んだ色は選びにくくなる」
2では「過去何を選んだか,未来の試行には関係ない」
3では「過去で選んだ色はよりいっそう選びやすくなる」

という対応関係になっています。このように並べてみるとポリアの壺という確率モデルを考えるのも有用な気がしてきます。

ポリアの壺の確率の証明

冒頭の主張:$p_n=\dfrac{a}{a+b}$ を証明します。

漸化式を立てる→帰納法という方針でいきます。 $k+1$ のときを考えるときに「 $k$ 回+ $1$ 回」と考えてもうまくいきません。「 $1$ 回+ $k$ 回」と考えるとうまくいきます。これは $n=1, 2, 3$ くらいまで実験すれば気づきやすいでしょう。

証明

$n=1$ のときは自明。
$n=k$ のときに $p_k=\dfrac{a}{a+b}$ と仮定する。
以下 $k+1$ 回目に赤玉が出る確率 $p_{k+1}$ を求める。

・1回目に赤玉が出る場合
確率は $\dfrac{a}{a+b}$ である。 $a+1$ 個の赤玉と $b$ 個の白玉となり残り $k$ 回の試行をするので,$k+1$ 回目に赤玉が出る確率は $\dfrac{a}{a+b}\times \dfrac{a+1}{a+1+b}$

・1回目に白玉が出る場合
確率は $\dfrac{b}{a+b}$ である。 $a$ 個の赤玉と $b+1$ 個の白玉となり残り $k$ 回の試行をするので,$k+1$ 回目に赤玉が出る確率は $\dfrac{b}{a+b}\times \dfrac{a}{a+1+b}$

よって,以上2つを足し合わせると,
$p_{k+1}=\dfrac{a}{a+b}$ が分かり,帰納法により証明完了。

ポリアの壺の確率が $n$ に依存しないというのは美しい性質ですね。

ポリアの壺の一般化

ポリアの壺の一般化1:
上記では毎回加える玉が1個でしたが,選んだ玉と同じ色の玉を一気に $m$ 個加えることにします。つまり,$n$ 回試行すると $nm$ 個玉が増殖します。

ポリアの壺の一般化2:
上記では赤玉と白玉の2種類でしたが,玉の色が $c$ 種類の場合を考えます。最初壺には色 $i$ の玉が $a_i$ 個入っているとします。$(i=1, 2,\cdots n)$

これら2つの一般化を行ったときでも先ほどと同様な確率の美しい性質が証明できます:

$n$ 回目の試行で色 $i$ が選ばれる確率は
$p_n(i)=\dfrac{a_i}{\displaystyle\sum_{i=1}^ca_i}$

$n$ にも $m$ にも依存しない!
$m=2, a_1=a, a_2=b$ とすると冒頭の $\dfrac{a}{a+b}$ と一致するので一般化になっていることが分かります。

証明は先ほどとほとんど同様にして漸化式+帰納法でできます、練習問題にどうぞ!

ポリアは数学者の名前です。

Tag: 京大入試数学の良問と背景知識まとめ

分野: データの分析,確率  レベル: 最難関大学