2015/08/30

円周率の求め方(いろいろな計算式)

分野: 平面図形  レベル: マニアック

円周率の近似値の求め方をいろいろ紹介します。実際に計算して収束の速さについても見てみます。

グレゴリーライプニッツ級数

$\dfrac{\pi}{4}=1-\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{5}-\dfrac{1}{7}+\cdots$

証明は高校数学(積分を使う)でできます。→グレゴリーライプニッツ級数の2通りの証明。Arctanのマクローリン展開が背景にあります。

この式の右辺を途中で打ち切ると円周率の近似値を計算することができます。ただ,収束が非常に遅い!
実際 $4(1-\dfrac{1}{3}+\cdots +\dfrac{1}{17}-\dfrac{1}{19})$ を関数電卓で計算してみると $3.04\cdots$ となります。

マチンの公式

$y=\tan x\:(-\dfrac{\pi}{2} < x<\dfrac{\pi}{2})$ の逆関数を $\mathrm{Arctan}$ と書きます。つまり,$\tan\theta=\dfrac{1}{5}$ となる $\theta$(で$-\dfrac{\pi}{2} < x<\dfrac{\pi}{2}$ を満たすもの)が $\mathrm{Arctan}\dfrac{1}{5}$ です。

$\dfrac{\pi}{4}=4\mathrm{Arctan}\dfrac{1}{5}-\mathrm{Arctan}\dfrac{1}{239}$

Arctanのマクローリン展開より $\mathrm{Arctan} x=x-\dfrac{x^3}{3}+\dfrac{x^5}{5}-\dfrac{x^7}{7}+\cdots$ なので,右辺は四則演算で計算できます。

マチンの公式の証明

$-\dfrac{\pi}{2} < \alpha,\beta<\dfrac{\pi}{2}$ とする。
$\tan\alpha=\dfrac{1}{5}$,$\tan\beta=\dfrac{1}{239}$ のとき,$4\alpha-\beta=\dfrac{\pi}{4}$ を示せばよい。

これは加法定理を用いて計算するだけ。
$\tan 2\alpha=\dfrac{2\tan\alpha}{1-\tan^2\alpha}=\dfrac{5}{12}$
$\tan 4\alpha=\dfrac{2\tan 2\alpha}{1-\tan^2 2\alpha}=\dfrac{120}{119}$
$\tan (4\alpha-\beta)=\dfrac{\tan 4\alpha-\tan\beta}{1+\tan 4\alpha\tan\beta}=1$
よって $4\alpha-\beta=\dfrac{\pi}{4}$

収束はかなり速いです!実際に計算してみると,
$16\left\{\dfrac{1}{5}-\dfrac{1}{3\cdot 5^3}\right\}-\dfrac{4}{239}=3.14059\cdots$ であり,すぐに打ち切ったのに $3.14$ まで合っています!

正 $n$ 角形の周の長さ,面積

$\pi\simeq 2^n\sin\dfrac{\pi}{2^n}$

原始的な方法ですが,円は正多角形の極限なので,正多角形の周の長さや面積を用いて円周率の近似値を計算することもできます。

例えば,正 $2^n$ 角形の周の長さを考えることで,
$\pi\simeq \dfrac{1}{2}\cdot 2^{n+1}\sin\dfrac{2\pi}{2^{n+1}}\\
=2^n\sin\dfrac{\pi}{2^n}$
と分かります。特に $n=3$ の場合を円周率が3.05より大きいことのいろいろな証明で解説しています。

$\sin\dfrac{\pi}{2^n}$ は半角の公式を繰り返し使うことで計算できますが,四則演算だけでなくルートの計算も必要になります。

収束速度はまずまずです。実際 $n=5$ でやってみると $3.136\cdots$ となりました。

乱択アルゴリズム

今までの方法は確実に円周率の近似値を計算する方法でした。以下では「十分高い確率で」円周率の近似値を計算する方法を紹介します。

・ビュフォンの針
何回も針を投げる方法です。→ビュフォンの針の問題と確率の導出

・モンテカルロ法
正方形内にランダムに点を打ちまくる方法です。→モンテカルロ法と円周率の近似計算

いずれも理論は非常に面白いですが,収束が遅いので円周率の計算には使えません。

マチンと言うとマッチングを思い出しますね。
分野: 平面図形  レベル: マニアック