2015/03/07

1のn乗根の導出と複素数平面

分野: 複素数  レベル: 入試対策

定理1:1の $n$ 乗根は複素数平面の単位円周上に等間隔で並ぶ。
定理2:1の $n$ 乗根は全部で $n$ 個あるが,それらの和は0である。

1の累乗根の基本的な話題です。複素数平面の美しい性質。

1の三乗根,四乗根

具体例として三乗根,四乗根を考えてみます。

1のn乗根の図示

・ $n=3$ の場合
$z^3=1$ の解が $z$ の三乗根です。
$z^3-1=0$
$(z-1)(z^2+z+1)=0$
$z=1,z=\dfrac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}$

・ $n=4$ の場合
$z^4=1$ の解が $z$ の四乗根です。
$z^4-1=0$
$(z^2-1)(z^2+1)=0$
$z=\pm 1, z=\pm i$

(定理1の確認)これらを複素数平面上に図示すると,単位円周上に等間隔に並んでいることが分かります。
(定理2の確認)それぞれ,$n$ 乗根の和は $0$ であることが分かります:
$1+\dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}+\dfrac{-1-\sqrt{3}i}{2}=0$
$1+i+(-1)+(-i)=0$

1のn乗根の導出

一般の $n$ に対して冒頭の定理1を証明します。

いくつか考え方はありますが,前提知識として「複素数の積と回転が対応していること」の理解が必要になります。
→複素数平面における回転と極形式
→ドモアブルの定理の意味と証明

証明

・ $1$ の $n$ 乗根は $n$ 個以下であること
$1$ の $n$ 乗根は $z^n=1$ の解である。 $n$ 次方程式の解は重複度込みで $n$ 個(代数学の基本定理)なので $1$ の $n$ 乗根は全部で $n$ 個以下である。

・実際に $n$ 乗根を構成してやる
$z_k=\cos\dfrac{2\pi k}{n}+i\sin\dfrac{2\pi k}{n}\:(k=0,1,\cdots, n-1)$
たちが $1$ の $n$ 乗根であることはド・モアブルの定理を用いることで以下のように確認できる:
$z_k^n=(\cos\dfrac{2\pi k}{n}+i\sin\dfrac{2\pi k}{n})^n\\
=\cos 2\pi k+i\sin 2\pi k\\
=1$

以上より,定理1が証明された。

なお,$\cos\dfrac{2\pi}{n}+i\sin\dfrac{2\pi}{n}$($1$ の $n$ 乗根の $k=1$ の場合のもの)を $\xi_n$ と書くことが多いです。

また,このように $\xi_n$ を定めると, $1$ の $n$ 乗根たちは $\xi_n^k\:(k=0,1,\cdots ,n-1)$ と書けることも分かります。

1のn乗根の和

次は定理2の証明です。こちらは解と係数の関係を使うだけです!

証明1

$1$ の $n$ 乗根たちは方程式 $z^n-1=0$ の解である。
よって,解と係数の関係よりそれらの和は $0$ である。


図形的に説明することもできます(多角形の重心は高校数学では扱わないので以下の方法は厳密ではありません)。

(直感的な説明)
$1$ の $n$ 乗根たちは複素数平面上で正 $n$ 角形の頂点たちとなる。
その正 $n$ 角形の重心は対称性より原点にある。
よって,$1$ の $n$ 乗根たちの和は $0$ である。

高木貞治の初等整数論講義には「1のp乗根,特に17乗根」という章があります。

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