2014/04/17

正二十面体の対角線・体積を座標でエレガントに導出


正二十面体の座標表示

正二十面体の座標空間表示:
$xy$ 平面上の長方形の4頂点$(\pm 1,\pm\phi,0)$,
$yz$ 平面上の長方形の4頂点$(0,\pm 1,\pm \phi)$,
$zx$ 平面上の長方形の4頂点$(\pm\phi,0,\pm 1,)$,
合計12頂点は1辺の長さが2の正二十面体の頂点となっている


ただし,表記簡略化のために黄金比を $\phi=\dfrac{1+\sqrt{5}}{2}$ と表しています。
このページでは正二十面体の座標空間表示の成り立ちよりも応用例を中心に扱います。

正二十面体の座標空間表示

正二十面体は頂点の数が12,辺の数が30,面の数が20の正多面体です。

一見複雑な正二十面体は黄金比を用いて座標空間上で簡単に表現することができるというのは驚きです。
正二十面体の座標空間表示を知っていれば,対角線の長さ,体積,内接球の半径などなんでも求めることができます。

正二十面体の座標がどうしてこのように構成できるのか,そして図によるイメージは以下のサイトが分かりやすいので参考にしてみてください。
→正二十面体の頂点座標の求め方

なお,天下り的ですが,この座標空間表示が正しいことは以下のように簡単に確認することができます。

12個の中から適当に点を選ぶ。どの点を選んだとしても残り11個の点の中から自分との距離が2の頂点を5つ持ってこれる。
例えば,$(1,\phi,0)$ を選ぶと,それと距離が2の5つの頂点
$(-1,\phi,0),(\phi,0,\pm 1),(0,1,\pm \phi)$ を持ってこれる。対称性より他も同様。

正二十面体の対角線の長さ

日本数学オリンピックの予選問題に「1辺の長さが2の正二十面体の最長の対角線の長さを求めよ」という問題が出題されたことがあります。
正二十面体の座標空間表示を知っていたら簡単に解くことができます。

座標空間表示より,$(1,\phi,0)$ と$(-1,-\phi,0)$ の距離が1辺の長さが2の正二十面体の最長の対角線の長さなので,
$2\sqrt{1+\phi^2}=2\sqrt{\dfrac{5+\sqrt{5}}{2}}$
よって,1辺の長さが1の正二十面体の最長の対角線の長さは,
$\sqrt{\dfrac{5+\sqrt{5}}{2}}$

正二十面体の体積

1つの面の3頂点と正二十面体の中心,合計4点により構成される三角錐の体積を20倍すればよいわけです。1つの面は例えば$(\pm 1,\phi,-0),(0,1,\phi)$ による面を考えます。ここではサラスの公式を用いますが,平面の方程式を知っている人は距離公式を用いて求めることもできます。

正二十面体の体積

原点と$(\pm 1,\phi,0),(0,1,\phi)$ により作られる四面体の体積はサラスの公式より,
$\dfrac{1}{6}|2\phi^2|=\dfrac{3+\sqrt{5}}{6}$
これを20倍すると1辺の長さが2の正二十面体の体積となるので,1辺の長さが1の正二十面体の体積は,
$\dfrac{3+\sqrt{5}}{6}\cdot 20 ÷2^3=\dfrac{15+5\sqrt{5}}{12}$

正二十面体の内接球の半径

表面積と体積が分かれば内接球の半径も分かります。
→内接球の半径を求める一般的な公式
正三角形の面積は公式として覚えておきましょう。
→正三角形の面積,正四面体の体積

1辺が1の正二十面体の表面積 $S$ は,
$S=\dfrac{\sqrt{3}}{4}\cdot 20=5\sqrt{3}$
よって,先ほど求めた体積と合わせて,内接球の半径 $r$ を求めることができる:
$\dfrac{15+5\sqrt{5}}{12}=\dfrac{1}{3}r\cdot 5\sqrt{3}$
よって,
$r=\dfrac{3\sqrt{3}+\sqrt{15}}{12}$

対角線の長さ,体積,内接球の半径はあまり美しくないので覚える必要はないでしょうが,座標空間表示は覚えておくとよいでしょう。

正十二面体よりも座標空間表示がかんたん!