二点を通る直線の方程式の3タイプ

公式

座標平面上の異なる二点 (x1,y1)(x_1,y_1)(x2,y2)(x_2,y_2) を通る直線の方程式は次の三種類ある。

  1. yy1=y2y1x2x1(xx1)y-y_1=\dfrac{y_2-y_1}{x_2-x_1} (x-x_1)

  2. (x2x1)(yy1)=(y2y1)(xx1)(x_2-x_1)(y-y_1)=(y_2-y_1)(x-x_1)

  3. (xy)=(x1y1)+t(x2x1y2y1)\begin{pmatrix} x\\y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} x_1 \\ y_1 \end{pmatrix} +t \begin{pmatrix} x_2 - x_1\\ y_2 - y_1 \end{pmatrix}

二点を通る直線の方程式の表現方法はいくつかあります。ここでは三通りの表現と特徴を解説します。

二点を通る直線の方程式1

冒頭の表現は教科書にも載っている最も基本的な形式です。 基本的にはこの公式1で覚えておけばよいです。

公式1

座標平面上の異なる二点 (x1,y1)(x_1,y_1)(x2,y2)(x_2,y_2) を通る直線の方程式は, yy1=y2y1x2x1(xx1) y-y_1=\dfrac{y_2-y_1}{x_2-x_1} (x-x_1) と表される。

メリット

  • y2y1x2x1\dfrac{y_2-y_1}{x_2-x_1} が直線の傾きを表しており,(x1,y1)(x_1,\:y_1) を通る」というのが直線の式から瞬時に分かるのでもし公式を忘れてもすぐに構成できます。

  • y=Ax+By=Ax+B の形に表現しやすいので,直線の交点を求めやすいです(Ax+By+C=0Ax+By+C=0 という形で表現されている直線同士の交点を求めるのは少しめんどくさい)。これは AABB が数字のときには大差ありませんが,複雑な文字式のときはけっこう嬉しいです。

デメリット

  • x1=x2x_1=x_2 のときには傾きが定義できない(x2x1=0x_2 - x_1 = 0 で割ることになる)のでこの公式は使えません。通る二点の xx 座標が等しいときには直線の方程式は x=x1x=x_1 となります。特に,二点の座標に文字式が入っている場合, xx 座標が異なるかどうかで場合分けしないといけないです。

例題

例題

(2,4),(3,7)(2,4),\:(3,7) を通る直線の方程式を求めよ。

解答

公式1より求める直線の方程式は,y4=7432(x2)y-4=\dfrac{7-4}{3-2}(x-2)

これを整理すると y=3x2y=3{x}-2 となる。

二点を通る直線の方程式2

場合分けのデメリットを解消するための形式です!

公式2

座標平面上の異なる二点 (x1,y1)(x_1,y_1)(x2,y2)(x_2,y_2) を通る直線の方程式は, (x2x1)(yy1)=(y2y1)(xx1) (x_2-x_1)(y-y_1)=(y_2-y_1)(x-x_1) と表される。

公式1の分母を両辺定数倍しただけの式なので,x1x2x_1\neq x_2 の場合は当然正しいです。そして,x1=x2x_1=x_2 の場合,y1y2y_1\neq y_2 なので上の式は x=x1x=x_1 となり,この場合もOKです。

メリット

  • xx 座標が異なるかどうかで場合分けしなくてよいです。一見公式1とほとんど差がありませんが,二点の座標が複雑な文字式のときにとりわけ威力を発揮します。

  • 分数が出できません。

デメリット

  • 二点の座標が具体的な数字の場合など,xx 座標が異なることが分かっているときはわざわざ公式2を使わなくても公式1を使えばOKです。

例題

例題

(a,2),(b,3)(a,2),\:(b,3) を通る直線の方程式を求めよ。

解答

公式2より求める直線の方程式は,

(ba)(y2)=(32)(xa) (b-a)(y-2)=(3-2)(x-a)

つまり,(ba)(y2)=xa(b-a)(y-2)=x-a となる。これは a=ba=b の場合も aba\neq b の場合も正しい!

二点を通る直線の方程式3

ベクトルを使ったやや玄人向けの公式です!

公式3

座標平面上の異なる二点 A(x1,y1)A(x_1,y_1)B(x2,y2)B(x_2,y_2) を通る直線の方程式は,媒介変数 tt を用いて, (xy)=(x1y1)+t(x2x1y2y1) \begin{pmatrix} x\\y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} x_1 \\ y_1 \end{pmatrix} +t \begin{pmatrix} x_2 - x_1\\ y_2 - y_1 \end{pmatrix} と表される。

メリット

  • 直線上にある任意の点から A(x1,y1)A(x_1,y_1) までの距離が,tt さえ分かってしまえば t(x2x1)2+(y2y1)2 |t|\sqrt{(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2} と簡単に求まります。つまり, 直線の交点を出さずとも交点までの距離が求まるので数学オリンピックレベルの非常に複雑な問題を座標計算で解くときに計算量を大きく減らせます。

  • x1=x2x_1=x_2 の場合も使えます。つまり場合分けは不要です。

デメリット

  • 媒介変数 tt が残っているので,直線の方程式や直線同士の交点の座標を明示的に求めるときには結局 tt を消去しなくてはなりません。

例題

例題

a, ba,\ b を実数とする。特に b2b \neq 2 とする。

A(a,2),B(a+b,6)A(a,2),\:B(a+b,6) を通る直線の方程式を媒介変数を用いて表せ。また,この直線と y=2xy=2x が交わるとき,この交点と AA の距離を求めよ。

解答

公式3より求める直線の方程式は,媒介変数 tt を用いて,

(xy)=(a2)+t(b4) \begin{pmatrix} x\\ y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} a\\2 \end{pmatrix} +t \begin{pmatrix} b\\4 \end{pmatrix} とかける。

この直線の方程式と y=2xy=2x との交点では x=a+tb,2x=2+4tx=a+tb,\:2x=2+4t が満たされるので,xx を消去すると t=1ab2t=\dfrac{1-a}{b-2} となる。

よって,求める距離は, 1ab2b2+16 \left| \dfrac{1-a}{b-2} \right| \sqrt{b^2+16} である。

交点の座標を明示的に求めることなく距離が計算できました! これは公式3を使わないともっとめんどくさいです。(時間がある人はチャレンジしてみましょう。)

図形の難しい問題を計算で解くときには細かい工夫が大きく計算量を左右するので重要です。

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