2015/04/24

二項定理の意味と2通りの証明

分野: 場合の数  レベル: 基本公式

二項定理:$(a+b)^n=\displaystyle\sum_{k=0}^n{}_n\mathrm{C}_ka^kb^{n-k}$

二項定理の2通りの証明を解説します。

二項定理の意味

  • 「$(a+b)^n$ を展開したときの各項の係数を求めたい」という代数的な要望に「コンビネーション」という組合せの手法で答えるのが二項定理です。
  • ${}_n\mathrm{C}_k={}_n\mathrm{C}_{n-k}$ なので,二項定理を$(a+b)^n=\displaystyle\sum_{k=0}^n{}_n\mathrm{C}_ka^{n-k}b^{k}$ と書いてもOKです。

$(a+b)^5$ を展開したときの $a^2b^3$ の係数は,${}_5\mathrm{C}_2=10$
他の係数も同様に求めることができて,$(a+b)^5=a^5+5a^4b+10a^3b^2+10a^2b^3+5ab^4+b^5$
という展開公式が得られる。

例2

$(2x-y)^6$ を展開したときの $x^3y^3$ の係数は${}_6\mathrm{C_3}2^3(-1)^3=-160$


・ $a=x,b=1$ としたバージョン:$(1+x)^n=\displaystyle\sum_{k=0}^n{}_n\mathrm{C}_kx^{k}$
も頻出です。これは二項定理の特殊ケースに見えますが,こちらからもとのバージョンを導出することもできます($x=\dfrac{a}{b}$ とおいて両辺に $b^n$ をかける)。

例3

$(1+x)^{100}$ を展開したときの $x^2$ の係数は,${}_{100}\mathrm{C}_2=4950$

二項定理の証明1

教科書にも載っている定番の方法です。組合せの議論を用います。

二項定理の証明

証明

$n=3$ の場合を図に示す。
$(a+b)^n$ を展開したときに出てくる1つの項は,
「 $a$ と $b$ のうちどちらかを選ぶ」という操作を各カッコに対して行い,選んだものを全てかけあわせたもの。このようにして出てくる項を全て($2^n$ 個)足し合わせると展開式が得られる。

よって,展開後は $a^{k}b^{n-k}$ というタイプの項のみが存在し,その係数は${}_n\mathrm{C}_k$($n$ 個のうちどの $k$ 個のかっこから $a$ を選ぶのかで${}_n\mathrm{C}_k$ 通り)である。

二項定理の証明2

教科書には載っていませんが数学的帰納法で証明することもできます。任意の自然数に対して〜を証明せよというタイプの問題で困ったら帰納法にトライです。

証明

・ $n=1$ のとき成立。

・ $n=m-1$ のとき二項定理が成立していると仮定する:
$(a+b)^{m-1}=\displaystyle\sum_{k=0}^{m-1}{}_{m-1}\mathrm{C}_ka^{k}b^{m-1-k}$
両辺に$(a+b)$ をかける:
$(a+b)^{m}=(a+b)\left(\displaystyle\sum_{k=0}^{m-1}{}_{m-1}\mathrm{C}_ka^{k}b^{m-1-k}\right)$

右辺を展開したときには $a^kb^{m-k}$ というタイプの項のみが登場し,その係数は${}_{m-1}\mathrm{C}_k+{}_{m-1}\mathrm{C}_{k-1}$

ここで,二項係数の公式より${}_{m-1}\mathrm{C}_k+{}_{m-1}\mathrm{C}_{k-1}={}_{m}\mathrm{C}_k$ なので $n=m$ のときにも二項定理が成立することが分かった。

最後に用いた二項係数の公式は二項係数の有名公式を2つの方法で導くで解説しています。

2つの証明のうちどちらが分かりやすいかは人による気がしますが,ぜひ両方とも理解してください。

帰納法は泥臭い最後の手段だから推奨しないという方もいますし,帰納法が大好きな友人もいます。僕は中立派。

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