2015/02/14

二直線のなす角を求める2通りの方法と比較

分野: 座標,ベクトル  レベル: 入試対策

二直線のなす角は法線ベクトルと内積($\cos$)を用いても求めることができる,傾きと加法定理($\tan$)を用いても求めることができる。

二直線のなす角

二直線,$ax+by=0$,$cx+dy=0$ のなす角 $\theta$ を求める問題を考えます。(直線を平行移動してもなす角は変わらないので原点を通る二直線のみ考えれば十分です。)

なお,
「直線(向きがない)」のなす角 $\theta$ は $0^{\circ}\leq \theta\leq 90^{\circ}$ です。
「ベクトル(向きがある)」のなす角 $\theta’$は $0^{\circ}\leq \theta’\leq 180^{\circ}$ です。

方法1:$\tan$ を求める
方法2:$\cos$ を求める
を解説し,最後に二つの方法を比較します。

方法1:加法定理でなす角を求める

  • タンジェントの加法定理
  • 直線の傾き$=\tan$

を使います。

公式1:上記の問題設定のもと,二直線のなす角 $\theta$ は
$\tan\theta=\dfrac{|ad-bc|}{|ac+bd|}$ を満たす。

ただし,二直線のなす角が直角の場合,$ac+bd=0$ になり,この公式は使えません。

この公式は覚える必要はありません。考え方が重要です。証明は以下の例題の解答と同様にして行うことができます。

例題

二直線 $\sqrt{3}x-y=0$ と$(2-\sqrt{3})x-y=0$ のなす角 $\theta$ を求めよ。

二直線の傾きは,$m_1=\sqrt{3}$ と $m_2=2-\sqrt{3}$ である。

なす角と加法定理

よって,タンジェントの加法定理より,
$\tan\theta=\dfrac{m_1-m_2}{1+m_1m_2}\\
=\dfrac{2\sqrt{3}-2}{1+\sqrt{3}(2-\sqrt{3})}=1$

となり $\theta=45^{\circ}$

注:$b=0$ または $d=0$ のときは傾きが存在しないのでこの方法では証明できませんが,上記の公式が成立することが簡単に確認できます。公式1が使えないのは $ac+bd=0$ のときのみです。

方法2:内積を用いてコサインを求める

  • $ax+by=0$ の法線ベクトルは$(a,b)$ であること
  • 二直線のなす角は,それぞれの法線方向のなす角であること

を使います。
直線の法線ベクトルについては直線の方程式の一般形が嬉しい3つの理由を参照して下さい。

公式2:上記の問題設定のもと,二直線のなす角 $\theta$ は
$\cos\theta=\dfrac{|ac+bd|}{\sqrt{a^2+b^2}{\sqrt{c^2+d^2}}}$ を満たす。

この公式も覚える必要はありません。証明は以下の例題の解答と同様にして行うことができます。

なす角と法線ベクトル

例題(再掲):二直線 $\sqrt{3}x-y=0$ と$(2-\sqrt{3})x-y=0$ のなす角 $\theta$ を求めよ。

解答

二直線の法線ベクトルはそれぞれ$(\sqrt{3},-1),\:(2-\sqrt{3},-1)$ であるので,これらのなす角 $\theta’$を求めればよい($\theta’\leq 90^{\circ}$ なら $\theta=\theta’$,$\theta’ > 90^{\circ}$ なら $\theta=180^{\circ}-\theta’$であることに注意)。

ここで,ベクトルの内積を二通りで表すと,,
$\sqrt{3}\cdot (2-\sqrt{3})+(-1)(-1)=\sqrt{3+1}\sqrt{(2-\sqrt{3})^2+1}\cos\theta’$

$\cos\theta’=\dfrac{2\sqrt{3}-3+1}{\sqrt{3+1}\sqrt{1+(2-\sqrt{3})^2}}\\
=\dfrac{2\sqrt{3}-2}{2\sqrt{2}\sqrt{4-2\sqrt{3}}}$
ここで,分母の二重根号は外せる(注)($\sqrt{4-2\sqrt{3}}=\sqrt{3}-1$)ので,
$\cos\theta’=\dfrac{1}{\sqrt{2}}$
となる。よって法線ベクトルのなす角が $45^{\circ}$ であるので,二直線のなす角も $45^{\circ}$

注:→二重根号の外し方のパターンと外せないものの判定

二つの方法の比較

方法1(tanの加法定理)
メリット:計算が楽!
デメリット:直線の傾きが存在しない場合は別に考える必要がある

方法2(内積,cos)
メリット:場合分け不要
デメリット:計算がしんどくなることが多い(さっきの例題でも二重根号が登場)

計算量の恩恵が大きいので基本的に方法1を使うことをオススメします。

傾きが明らかに存在する&二直線が明らかに直交しない状況では場合分けはそもそも不要ですし,場合分けが必要な場合も簡単に処理できます。一方,やや複雑な問題では $\cos$ の方は計算がヤバいことになります。

美しい関係

最後に二つの公式の間に,$1+\tan^2\theta=\dfrac{1}{\cos^2\theta}$ という基本的な関係式が成立していることを確認しておきます。

(確認)
公式1によると,
$1+\tan^2\theta=1+\dfrac{(ad-bc)^2}{(ac+bd)^2}\\
=\dfrac{(ac+bd)^2+(ad-bc)^2}{(ac+bd)^2}$
ここでブラーマグプタ・フィボナッチ恒等式を発動(知らなくてもただ計算すればよいだけ)すると,
上式は $\dfrac{(a^2+b^2)(c^2+d^2)}{(ac+bd)^2}$ と計算できる。

これは公式2による $\cos\theta$ の逆数の二乗に等しい!

tanの方が計算に楽になることを実感していただけたかと思います。

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