2014/04/29

ドモアブルの定理の意味と証明

分野: 複素数  レベル: 最難関大学

ドモアブルの定理:
$(\cos\theta+i\sin\theta)^n=\cos n\theta+i\sin n\theta$

美しい複素数の等式です。

ドモアブルの定理の意味

1:単なる「複素数の恒等式」にすぎない
ドモアブルの定理は三角関数やら虚数やらが入っていておどろおどろしいので初めてみるとひるんでしまいますが,単なる恒等式です。

2:三角関数の加法定理と密接に関係している
のちほどの証明でみるように三角関数の加法定理を用いてドモアブルの定理を証明することができます。また,ドモアブルの定理から三角関数の $n$ 倍角の公式を導くことができます。

3:複素指数関数の指数法則を表している
ドモアブルの左辺は複素指数関数 $e^{i\theta}$ の $n$ 乗で,右辺は $e^{in\theta}$ なので,指数法則$(e^{x})^n=e^{xn}$ の複素数バージョンになっています。
複素指数関数とオイラーの公式
複素指数関数の定義は天下り的で本質を理解するには解析接続という概念が必要になります。この3に関しては理解できなくて構いません,「ドモアブルの定理には深い意味があるんだなあ」くらいに流してくれればOKです。

ドモアブルの定理の証明

複素指数関数なんて知らなくても証明できます!

方針:$n$ に関する数学的帰納法で証明します。三角関数の加法定理を用います。

証明

$n=1$ のときは自明。
$(\cos\theta+i\sin\theta)^{k}=\cos k\theta+i\sin k\theta$ と仮定すると,
$(\cos\theta+i\sin\theta)^{k+1}\\
=(\cos\theta+i\sin\theta)^{k}(\cos\theta+i\sin\theta)\\
=(\cos k\theta+i\sin k\theta)(\cos\theta+i\sin\theta)\\
=(\cos k\theta\cos\theta-\sin k\theta\sin\theta)+i(\sin k\theta\cos\theta+\cos k\theta\sin\theta)\\
=\cos(k+1)\theta+i\sin(k+1)\theta$
(ただし,最後の変形で三角関数の加法定理を用いた)
となり,$n=k$ のときに成立するなら $n=k+1$ でも成立。

ドモアブルの定理の利用

ドモアブルの定理を用いれば三角関数の $n$ 倍角の公式を素早く導くことができます!(逆にこれ以外使い道がないような、、)

三倍角の公式
$(\cos\theta+i\sin\theta)^3=\cos 3\theta+i\sin 3\theta$ なので,左辺を展開したときの
実部($=\cos^3\theta-3\cos\theta\sin^2\theta$)が $\cos$ の三倍角の公式で
虚部($=3\cos^2\theta\sin\theta-\sin^3\theta$)が $\sin$ の三倍角の公式になっています。

同様に,$n$ 乗を展開するだけで機械的に $n$ 倍角の公式を導くことができます。
→四倍角の公式の証明と考察

5倍角の公式の導出が京大で出題されたことがあります

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