最終更新:2017/03/31

Mardenの定理、Gauss–Lucasの定理

分野: 複素数  レベル: マニアック

平面図形,複素数平面における美しい定理を3つ紹介します。

シュタイナーの内接楕円

シュタイナーの内接楕円

任意の三角形に対して,各辺と中点で接する楕円がだた一つ存在する。これをシュタイナーの(内接)楕円と呼ぶ。

楕円の自由度が $5$(平行移動2,短軸の長さ,長軸の長さ,回転)であるのに対して「各辺と中点で接する」というのは $6$ つの制約になります。そう考えると,このような楕円が存在するのは少し不思議です。

シュタイナーの内接楕円の中心はもとの三角形の重心と一致します。

このような楕円が存在することは後述する Marden の定理から分かります。

Marden の定理

Van den Berg の定理と呼ばれることもあります。

三次多項式 $f(z)$ について考える。複素数平面上で $f(z)=0$ の解に対応する3点 $A,B,C$ が三角形をなすとする。また,$f'(z)=0$ の解に対応する点を $F,F’$ とする。このとき,$F,F’$ を焦点とする楕円で,三角形 $ABC$ の各辺と中点で接するものが存在する。

まさにシュタイナーの内接楕円です。

証明の概略

各辺の中点を $L,M,N$ とする。

頑張って計算することにより,

  1. $\angle FLB=\angle F’LC$
  2. $FL+F’L=FM+F’M=FN+F’N$

が分かる(→補足)。

Mardenの定理

1より,$F,F’$ を焦点とし $L$ を通る楕円 $\Gamma$ は,$BC$ と $L$ で接する。さらに,2より,$\Gamma$ は $M$ と $N$ を通る。

さらに対称性と1より,$FMA=F’MC$,$\angle FNA=F’NB$ も成立するので,$\Gamma$ は $M$ と $N$ で $CA,AB$ と接することが分かる。

補足:この証明(の概略)はシュタイナー楕円(Aozora Gakuen)を参考にしています。詳しい計算はリンク先を参照してください。

ちなみに,後述の Gauss–Lucas の定理を使うと,$F,F’$ が三角形 $ABC$ の内部(境界含む)にあることはすぐに分かります。

Gauss–Lucas の定理

複素数平面において多項式 $f(z)=0$ の解に対応する点を $A_i\:(i=1,\cdots,n)$ とする。$f'(z)=0$ の解に対応する点は $A_i$ たちの凸包に含まれる。

Gauss--Lucasの定理

例えば,$f(z)$ が6次多項式のとき,$f(z)=0$ の解に対応する点は(重複も含めて)$6$ つあります。図のようになったとします。すると,$f'(z)=0$ の解に対応する点(重複も含めて $5$ つある)は,全て図の四角形の中(境界含む)にあるというわけです。

証明

$f(z)=C(z-a_1)(z-a_2)\cdots (z-a_n)$
とする。複素数 $a_i$ に対応する点が $A_i$ である。

$f'(b)=0$ のとき,$b$ に対応する点が $A_i$ の凸包に含まれることを示す。

もし,$f(b)=0$ のときは $b$ は $a_i$ のいずれかと一致するので定理は成立。よって,以下 $f(b)\neq 0$ とする。

積の微分公式(→ライプニッツの公式の証明と二項定理)を用いて $f'(z)$ を微分すると,
$f'(z)=\dfrac{f(z)}{z-a_1}+\dfrac{f(z)}{z-a_2}+\cdots +\dfrac{f(z)}{z-a_n}$

よって,$f'(b)=0$ なので,
$\dfrac{1}{b-a_1}+\dfrac{1}{b-a_2}+\cdots +\dfrac{1}{b-a_n}=0$

分母を実数化して両辺の共役複素数を取ることにより,
$\dfrac{b-a_1}{|b-a_1|^2}+\dfrac{b-a_2}{|b-a_2|^2}+\cdots +\dfrac{b-a_n}{|b-a_n|^2}=0$

よって,$w_i=\dfrac{1}{|b-a_i|^2}$ とおくと,
$b=\dfrac{a_1w_1+a_2w_2+\cdots +a_nw_n}{w_1+w_2+\cdots +w_n}$
と凸結合の形で書けるので定理は成立。

Marden の定理は読者の方に Twitter で教えてもらったものです。面白いです!
分野: 複素数  レベル: マニアック