2014/02/11

マクローリン型不等式(指数関数)

分野: 指数・対数関数  レベル: 最難関大学

微分法を用いて不等式を示す問題の背景。

以下の不等式は指数関数のマクローリン展開が元になっています。

(i)$ e^x\geq 1\qquad(x\geq 0)$
(ii)$ e^x\geq 1+x\qquad(x\in \mathbb{R})$
(iii)$ e^x\geq 1+x+\frac{x^2}{2}\qquad(x\geq 0)$
(iiii)$ e^x\geq 1+x+\frac{x^2}{2}+\frac{x^3}{6}\qquad(x\in \mathbb{R})$

下に行くほど複雑ですが強い不等式になっています。
特に(ii)は有名な重要公式なので丸暗記しておきましょう。
仮に,マクローリン展開がもとになっているということを知らなくても,単純に覚えているだけで得する不等式です。

マクローリン型不等式の気持ち

上の不等式は全て指数関数のマクローリン展開が元になっています。
つまり,$e^x={\displaystyle \sum_{k=0}^{\infty}}\dfrac{x^k}{k!}$ であることに注意すると,上の不等式は以下と等価です:
(i)$ {\displaystyle \sum_{k=1}^{\infty}}\dfrac{x^k}{k!}\geq 0\qquad(x\geq 0)$
(ii)$ {\displaystyle \sum_{k=2}^{\infty}}\dfrac{x^k}{k!}\geq 0\qquad(x\in \mathbb{R})$
(iii)$ {\displaystyle \sum_{k=3}^{\infty}}\dfrac{x^k}{k!}\geq 0\qquad(x\geq 0)$
(iiii)$ {\displaystyle \sum_{k=4}^{\infty}}\dfrac{x^k}{k!}\geq 0\qquad(x\in \mathbb{R})$
これらの不等式が $x\geq 0$ で成立するのは自明でしょう。
(ii), (iiii)が $x< 0$ で成立することは自明ではないですが,微分を用いれば示すことができます。

マクローリン型不等式を覚えていて嬉しい事

微分法を用いて不等式を証明するときに,そのまま(左辺)ー(右辺)を何回も微分しても,導関数がどんどん複雑になって収集がつかなくなる場合が多いです。そのため何かしらの工夫をしなければならず,そこが不等式の証明の難しいところです。

しかし,マクローリン型の不等式の場合は,愚直に(左辺)ー(右辺)を何回も微分していけば簡単な関数形になり必ず証明は成功します。

マクローリン型の不等式を証明せよという問題を見たら何も考えずにそのまま両辺の差をひたすら微分していけばよいのです。

(iii)の略証(同時に(ii)の証明にもなっている)
$f(x)=e^x-1-x-\frac{x^2}{2}$ とおくと,
$f'(x)=e^x-1-x$
$f^{\prime\prime}(x)=e^x-1$
$f^{\prime\prime}(x)$ の関数形と $f'(0)=0$ から $f'(x)\geq 0$ が分かる。
これと $f(0)=0$ より
$f(x)\geq 0\qquad(x\geq 0)$
が分かる。

マクローリン型不等式(三角関数)も全く同様に証明できます。比較してみましょう。

マクローリン型不等式の使い道は他にもあるので是非覚えてください!


Tag: マクローリン展開の応用例まとめ

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