2015/10/19

ノルムの意味とL1,L2,L∞ノルム

分野: 解析  レベル: 大学数学

$n$ 次元ベクトル $\overrightarrow{x}=(x_1,x_2,\cdots, x_n)$ および $1\leq p\leq \infty$ なる $p$ に対して
$\sqrt[p]{|x_1|^p+|x_2|^p+\cdots +|x_n|^p}$
を $\overrightarrow{x}$ の $L^p$ ノルムと言い,$\|\overrightarrow{x}\|_p$ と書く。

n次元ベクトルとは

$n$ 次元ベクトルは(この記事では)実数を $n$ 個並べたものだと考えて下さい。

高校数学で習う2次元ベクトル(平面ベクトル),3次元ベクトル(空間ベクトル)の一般化です。

ノルムとは

ノルムとはいろいろなものの「大きさ」を表す量です。より正確に言うと(実数上のベクトル空間 $V$ に対しては)任意の $x,y\in V$ と任意の実数 $a$ に対して以下の3つの性質を満たす関数のことです。

  • $\|\overrightarrow{x}\|=0\iff \overrightarrow{x}=0$
  • $\|a\overrightarrow{x}\|=|a|\|\overrightarrow{x}\|$
  • $\|\overrightarrow{x}\|+\|\overrightarrow{y}\|\geq \|\overrightarrow{x+y}\|$

$L^p$ ノルムは代表的なノルムです。 $\sqrt[p]{|x_1|^p+|x_2|^p+\cdots +|x_n|^p}$ が上の3つの性質を満たすことは簡単に確認できます。(3つ目については→ミンコフスキーの不等式とその証明

$p=2$ の場合,$p=1$ の場合

$L^2$ ノルム:$\sqrt{x_1^2+x_2^2+\cdots +x_n^2}$
高校数学でも扱う「普通の意味での長さ」です。ユークリッドノルムとも言います。

$L^1$ ノルム:$|x_1|+|x_2|+\cdots +|x_n|$
各成分の絶対値の和です。 $L^1$ ノルムを「大きさ」として扱うと便利なこともけっこうあります→L1距離(マンハッタン距離)の意味と性質

$p=\infty$ の場合

$p$ が大きい場合の極限を考えてみます。 $x_i\:(1\leq i\leq n)$ の中で一番絶対値が大きいものの一つを $x_k$ とします。すると $p$ が十分大きいとき,
$\sqrt[p]{|x_1|^p+|x_2|^p+\cdots +|x_n|^p}\simeq |x_k|$
となります。

そこで,$L^{\infty}$ ノルムを絶対値最大の成分の絶対値と定義します。無限大ノルム,supノルムなどとも言います。

単位円,単位球

ノルムと単位球

二次元ベクトルに対して $\|\overrightarrow{x}\|_p=1$ であるような領域(単位円)を図示しました。

$p$ を $1$ から徐々に増やしていくにつれて単位円はふくらんでいきます。これは $n\geq 3$ でも同様です。

ちなみに,$0\leq p < 1$ の場合にも $\sqrt[p]{|x_1|^p+|x_2|^p+\cdots +|x_n|^p}$ を考えることはできます($0^0=0$ とする)がノルムにはなりません(三角不等式を満たさない)。単位円はへこみます。

実際よく登場するのは $L^1,L^2,L^{\infty}$ ノルムです。 $L^0$ もときどき登場します。
分野: 解析  レベル: 大学数学