片対数グラフ,両対数グラフの傾きの意味

対数グラフとは,対数目盛を使ったグラフのことです。普通の目盛では「0から1」「1から2」が同じ1目盛分になりますが,対数目盛では,「1から10」「10から100」が同じ1目盛分になります。

このページでは,対数グラフについて解説します。

普通の目盛と対数目盛

普通のグラフでは, 二点間の距離がその二点の数値の差に比例するような目盛(普通の数直線)を使います。

「-1から0」「0から1」「1から2」はすべて同じ長さになります。

対数グラフの目盛

一方, 二点間の距離がその二点の数値の対数の差に比例するような目盛を対数目盛と言います。

対数目盛では,「0.1から1」「1から10」「10から100」はすべて1目盛分です。

片対数グラフと両対数グラフ

対数目盛を用いたグラフのことを対数グラフと言います。対数グラフには,以下のような種類があります。

1. xx 軸が通常の目盛,yy 軸が対数目盛

→片対数グラフ(semi-log plot)と呼ばれる。指数関数を図示するのに便利。

2. xx 軸が対数目盛,yy 軸が通常の目盛

→あまり使わないと思います。

3. xx 軸,yy 軸ともに対数目盛

→両対数グラフ(log-log plot)と呼ばれる。べき関数を図示するのに便利。

片対数グラフの傾きの意味

片対数グラフ(xx 軸が通常の目盛,yy 軸が対数目盛)について説明します。指数関数は片対数グラフに書くと直線になります。そのため, 片対数グラフは,指数関数を図示するのに便利なグラフと言えます。

片対数グラフの性質

指数関数 y=Cax(C>0,a>0)y=Ca^x\:(C > 0,a > 0)yy 軸のみ対数目盛の片対数グラフで直線になる。その指数の底 aa は直線の傾きを見れば分かる。

証明

片対数グラフで傾き AA ,切片 BB の直線になる

    logy=Ax+B\iff \log y=Ax+B という関係がある

    y=10B10Ax\iff y=10^{B}10^{Ax} という関係がある

ここで,10B=C,10A=a10^B=C,10^A=a とおくと,y=Caxy=Ca^x という関係式になる。

また,指数の底 aa と直線の傾き AA の間には 10A=a10^A=a という関係があるので傾きから指数の底が分かる。

※対数の底は何でも構いませんが(底の変換公式よりスケールが変化するだけ)今回は常用対数で説明します。この記事では log10x\log_{10} xlogx\log x と書きます。

なお,片対数グラフにおいて,2点 (x1,y1),(x2,y2)(x_1,y_1),(x_2,y_2) を結ぶ線分の傾きは

logy1logy2x1x2\dfrac{\log y_1-\log y_2}{x_1-x_2}

で計算できます。

両対数グラフの傾きの意味

続いて,両対数グラフについてです。べき関数は両対数グラフに書くと直線になります。そのため, 両対数グラフは,べき関数を図示するのに便利なグラフと言えます。

両対数グラフの性質

べき関数 y=Cxa(C>0)y=Cx^a\:(C> 0) は両対数グラフで直線になる。そのべき aa は直線の傾きと一致する。

証明

両対数グラフで傾き AA ,切片 BB の直線になる

    logy=Alogx+B\iff \log y=A\log x+B という関係がある

    y=10BxA\iff y=10^{B}x^A という関係がある

ここで,10B=C10^B=C とおくと,y=CxAy=Cx^A という関係式になる。

直線の傾き AA はべきと一致している。

なお,両対数グラフにおいて,2点 (x1,y1),(x2,y2)(x_1,y_1),(x_2,y_2) を結ぶ線分の傾きは

logy1logy2logx1logx2\dfrac{\log y_1-\log y_2}{\log x_1-\log x_2}

で計算できます。

物理の実験で対数グラフを書いた記憶があります。