2014/04/19

共役複素数の覚えておくべき性質

分野: 複素数  レベル: 基本公式

共役複素数の性質:
性質1:ある複素数と共役複素数との積は非負実数。
性質2:実数係数多項式$=0$ の解の共役複素数も解。

特に性質2が重要です。導き方も含めて覚えておきましょう。

共役複素数とは

「きょうえき」ではなく「きょうやく」と読みます。
複素数 $a+bi$(ただし$(a, b)$ は実数)に対して $a-bi$ を共役複素数と言います。複素数は2つで1つのペアをなしていると捉えることができるのです。複素数 $z$ の共役複素数を $\overline{z}$ と表します。

$\overline{2+3i}=2-3i$,
$\overline{2i}=-2i$,
$\overline{3}=3$

実数 $a$ の共役複素数は $a$ 自身です。

共役複素数を上記のように定義するといろいろ嬉しいことがあります。このページでは共役複素数に関して入試に役立つ性質を2つ紹介します。

1:共役複素数との積は非負実数

任意の複素数 $z=a+bi$ に対して,$z\overline{z}$ は非負実数です。$(a+bi)(a-bi)=a^2+b^2\geq 0$ だからです。
この性質は分母に複素数が含まれている場合の実数化をはじめ,複素数が絡む多くの問題で用いられます。基本的で当たり前な公式ですが,非常に重要です。

2:実数係数多項式$=0$ の解の共役複素数も解

教科書ではきちんと説明されていませんが,入試を戦う上では必須の知識です。導出方法も合わせて覚えておきましょう。

実数係数多項式$=0$ という方程式
$\displaystyle\sum_{k=0}^na_kx^k=0$
に関して $z$ が解なら $\overline{z}$ も解である。

$n=2$ のときは二次方程式の解の公式から,実数解2つまたは2つの解が $p+qi,p-qi$ という形をしていることがすぐにわかると思います。 $n=3$ のときは,3つの解が全て実数または $p+qi,p-qi,r$(ただし,$p,q,r$ は実数)と表せるということです。(頻出)

これが一般の $n$ で成立することを示すのは覚えてないと厳しいでしょう。三段階に分けて証明します。

証明

(i)任意の複素数 $w,z$ に対して $\overline{wz}=\overline{w}\cdot\overline{z}$
これは,以下の式変形により示せる:
$\overline{(a+bi)(c+di)}\\
=\overline{ac-bd+i(ad+bc)}\\
=(ac-bd)-i(ad+bc)\\
=(a-bi)(c-di)$

(ii)任意の複素数 $w,z$ に対して $\overline{w+z}=\overline{w}+\overline{z}$
これは,以下の式変形により示せる:
$\overline{(a+bi)+(c+di)}\\
=\overline{a+c+i(b+d)}\\
=(a+c)-i(b+d)\\
=(a-bi)+(c-di)$

(iii)$ z$ が解なら $\overline{z}$ も解。
$\displaystyle\sum_{k=0}^na_kz^k=0$ のとき,
両辺の共役複素数をとって,
$\overline{\displaystyle\sum_{k=0}^na_kz^k}=0$
ここで,性質(ii)を繰り返し用いる:
$\displaystyle\sum_{k=0}^n\overline{a_kz^k}=0$
さらに性質(i)と $\overline{a_k}=a_k$ 用いる:
$\displaystyle\sum_{k=0}^na_k\overline{z}^k=0$
これは $\overline{z}$ がもとの方程式の解であることを表している。

証明の途中で $a_k$ の共役複素数が $a_k$ であることを用いているので実数係数という条件は必須です。

余談:有理数係数の方程式に関しても似たような定理が成立します。→共役無理数に関する二つの定理

ちなみに大学の数学では複素ベクトル空間の標準内積を定義するときに自然に共役複素数が登場します

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